渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 8月11日(金)~15日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
2016年渋谷らくご大賞を受賞した春風亭昇々さん。演じたあとは草木も生えないパワフルな高座で、夢に出てきてうなされる人続出。一度ハマったら抜け出せない、聴くのではなく「体感」する落語を味わってみてください。
真打昇進間近の三木男さんの覚悟、小痴楽さんの軽妙な噺の運び方、フェルメールの絵を見るような扇辰師匠のリアリズム、全員目指す方向のちがう落語なのに、どれもが落語。刺激的な会となるでしょう。
▽桂三木男 かつら みきお
19歳で入門、芸歴14年目、2006年11月二つ目昇進。この秋に真打ち昇進、祖父、そして叔父の名前である「桂三木助」を襲名する。よく深夜に料理をされるとのことで、得意料理はひたすら蜂蜜にこだわったアップルパイ。アップルパイは朝ご飯に食べている。最近買った本は『世界一美味しい煮卵の作り方』。
▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴12年目、2009年11月二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。最近お引っ越しされたとのことで、ご自宅にはセキセイインコを飼っている。名前は「福助」さん。真夏でも喉を守るために、しっかりとマスクをしている。先日昇々さんの「パンの歌・パンの踊り」を真打ちまでに習得するするとツイートしている。
▽入船亭扇辰 いりふねてい せんたつ
25歳で入船亭扇橋師匠に入門、現在入門28年目、2002年3月真打昇進。iPadを駆使している。読書量がすごい。ご自宅の本棚には、たくさんの本と落語の資料がいっぱい。料理も上手い。お酒が大好きだとのことで、とにかく召し上がられる。ツイッターにアップされる写真を見ると、扇辰師匠は必ずハイボールを持っている。二日酔いはポカリスエットで治す。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。2016年「渋谷らくご大賞」受賞。
先日小痴楽さんの前で、全裸で「パンの歌・パンの踊り」なるものを披露し、小痴楽さんを怖がらせる。9月15日(金)19時30分よりユーロライブにて、渋谷らくご大賞受賞記念特別興行「昇々ひとり会」が開催決定。ただいまチケット発売中です。
レビュー
8月13日17時〜19時 「渋谷らくご」
桂三木男(かつら みきお)-宿屋の仇討
柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)-両泥
入船亭扇辰(いりふねてい せんたつ)-道灌
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)-あごびよん/待ちわびて
「PM11:50のシンデレラ」
運命の王子様は必ずしも同次元にいるとは限りません。渋谷らくごという舞踏会では運命の王子がよりどりみどり。こっちの運命の王子とのハッピーエンドは、どちらかが死ぬまでファンでいられること。ほかのエンタメと比べて落語は廃業や引退でのファン強制終了は少ないかなと思います。よっぽどシンデレラより幸せかもしれません。
シンデレラは舞踏会でひときわ美しく…と御伽噺さながらにいきたいところですが、このシンデレラの素材が微妙なうえに、来てるお客さん全員がそれぞれに善き魔女からウキウキの魔法をかけられてみんないい表情。そんな会場を見渡すのもまた楽しい。そんなこんなしていると、舞踏会開幕のファンファーレよろしく二番太鼓が鳴ります。
桂三木男さん「宿屋の仇討ち」
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桂三木男さん
真打ち昇進がもう間近という三木男さん。マクラでは真打ち昇進披露の話題でした。落語ファン歴が浅いと、まだそういう落語界独特の風習がわからないので、聴きながらつい吸収しよう欲が高まって鼻息が荒くなります。
「宿屋の仇討ち」は威厳ある侍と、ついつい調子に乗ってしまう江戸っ子と、両者の間で右往左往する宿屋の噺です。マクラの時点で江戸っ子感は存分にみせてもらってるので、江戸っ子パートは全く違和感ないです。侍が、ね。いや、ちょっと感動しました。三木男さんを初めて観たのが約一年前。その時のレビューで、「お奉行様の重厚感がもう少しあれば〜…」と書いてたんです。いや、落語のらの字も知らん小娘が何を言うかって話ですけどね。ネタは違えど今回の侍、威厳も重厚感もあるんです。去年の私が平謝りしてます。三木男王子、ほんとに王子だとしたら今すぐにでも王国継げます。一国を余裕で統べれます。
柳亭小痴楽さん「両泥」
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柳亭小痴楽さん
落語の世界の泥棒はだいたいマヌケ。平和な噺ばかりです。この「両泥」もそんなマヌケな泥棒2人が織りなすホノボノ系。うっかり大声で自分が泥棒だと話してしまう泥棒は小痴楽さんのキャラそのままのようなしっくり感がありますが、それをたしなめる泥棒も小痴楽さんそのままです。マクラからしっかり江戸弁なので落語本編に入るときの違和感もないし、言葉の違和感の無さがキャラをよりしっくりさせている要因なのかもしれません。こんな泥棒なら空き巣に入られたとて、まぁいいかと思えてしまいそうです。どうせ失敗しそうな気もするし、憎めない。
入船亭扇辰師匠「道灌」
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入船亭扇辰師匠
マクラではユルっとした話し方だったのが本編に入ると急にパリッとし、空気がガラリと変わります。この空気が変わる瞬間って落語ならではではないでしょうか。気持ちがいい。
「道灌」は初めて聴く噺で、江戸城を築城した人というのは知ってはいたものの、歌人としても凄かったことや室町時代の人というのは初めて知りました…。落語って勉強になる。教養があれば落語がより楽しく聴けますが、物を知らなきゃ知らないでもそういう役のキャラに共感しながら聴くこともできます。この「道灌」は八五郎が御隠居から物を教わるシリーズ。他の噺では八五郎のマヌケさを笑ってましたが、今回ばかりは私も知らない事なので、八五郎目線で観てしまいました。共感したくないけどしてしまう、複雑な心境の一席でした。
舞踏会で一番嫌いな瞬間が迫ってきました。4人目の王子様。この王子様がサゲを言ってお辞儀をしたら、シンデレラにかかっていた魔法が解け、現実へ放り出されます。やだやだ。会が終わるなんて嫌だ。もう一巡してくれ…。でもいくらゴネたところでやっぱり落語は観たいに決まっている。結局心の中で「待ってました‼︎たっぷり‼︎」と叫ぶのです。あぁ複雑。
春風亭昇々さん「あごびよん」「待ちわびて」
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春風亭昇々さん
江戸の風は吹かせない宣言をしての新作、まずは「あごびよん」。落語は脳内で映像化しながら聴くのが楽しみのひとつですが、あごびよんは想像がすこぶる難しいのです。顎が出てる。と言うか、長いらしい。それも半端じゃないくらい。芥川龍之介の「鼻」、宮沢賢治の「やまなし」と並んで日本三大面白いのに想像が難しいストーリーです。上手側の席から観ると、昇々さんのシャクレ顔が楽しめるのでオススメです。
二席目は「待ちわびて」。ちょっとロマンチックなタイトルですが、登場人物は全員老人です。昇々さんの演じるちょっと拗らせた男子と面倒見の良い女子はどの噺も似てますが、なぜかきちんと年齢や人となりが想像できるのです。内容は現実離れしてますが、町内にいそうな感じもします。
想像しにくい噺としやすい噺の両極端二本立てで、聴きながらも自分の想像力がオーバーヒート気味でした。王子に例えるという事は、将来国を統べる想像もしてしまうわけで、とてつもない王国ができそうで震えます。
あーあ終わっちゃったよ、魔法が解けちまうよ…ってあれ?解けない。…解けない‼︎四人の王子達の威力は凄い。シンデレラの王子よ、君には魔法の延長できるだけの力はあるのかね。なーんて高笑いしながらそのままの楽しい気分で席を立つと、なんと入り口で三木男王子のお見送り。いやいや、ちょっと贅沢すぎやしないか。御伽の世界のシンデレラストーリーより、よっぽど現実世界のが楽しいし、ドラマチックなのです。ちなみに数日経った今も、まだ魔法は解けてません。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」8/13 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ