渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 12月8日(金)~12日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
お客さんにストレスを感じさせないキャラクター、声質、語り方。それらを総合して「軽さ」という美徳とされていますが、「軽い」人はえてして「おもしろかったけど、噺の印象が薄くてなにやったか忘れた」という場合が多いもの。ですが、小痴楽さんは二つ目にしてすでに「軽さ」と「噺」、そしてキャラクターがどれもつぶし合わずに並存している存在です。
トリックスター鳳笑さんが存在感を発揮し、ベテランの文蔵師匠が間にはさまり楽しませてくれたあと、真打間近のたこ平さんも熱演、最後に小痴楽さんがなにを演るか。楽しみな会です。
▽三遊亭鳳笑 さんゆうてい ほうしょう
28歳で入門、芸歴12年目、2010年10月二つ目昇進。学生時代は居酒屋でアルバイトをしていた。前回渋谷らくごにご出演の際、楽屋のトアではなく非常階段の防火扉を空けて大きな声で「おはようございます!」とご挨拶をされていた。
▽橘家文蔵 たちばなや ぶんぞう
24歳で入門、芸歴31年目、2001年真打昇進。ツイッターで、朝ご飯や酒の肴など、日々の料理をつぶやいている。最近つくった料理は「山椒の香りをきかせたキノコたっぷりの炊き込み御飯」。最近一箱880円のトルコ産松茸を買った。香りが強いとのこと。
▽林家たこ平 はやしや たこへい
1979年7月4日、大阪府出身、2003年11月入門、2007年二つ目昇進。ツイッターのアカウントは存在しているのだが、9ツイートしかつぶやかれていない。最新ツイートは11月2日12時の「青いなぁ…。」。平成30年秋真打ちに昇進することが決定した。
▽柳亭小痴楽 りゅうてい こちらく
16歳で入門、芸歴12年目、2009年11月二つ目昇進。落語芸術協会の二つ目からなる人気ユニット「成金」メンバー。気分の良いときは、テレビドラマ「ロングバケーション」のサウンドトラックを聴いて、しんみりする。最近の望みは「寝ながら食べること」。
レビュー
12月9日(土)14時〜16時「渋谷らくご」
三遊亭鳳笑(さんゆうてい ほうしょう) 「千早ふる」
橘家文蔵(たちばなや ぶんぞう) 「転宅」
林家たこ平(はやしや たこへい) 「看板のピン」
柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく) 「粗忽長屋」
今年もいよいよあとわずか。つまり、大河が最終回。家康公大好きな身としては、あと一年は軽〜く続くのに終わっちゃうのが寂しいんです。来年大河は続編で「直政」でいいじゃん。阿部サダヲさんで大坂夏の陣まで見せて欲しい!
家康公の最大の魅力は、色々な要素がありすぎて調べれば調べるほど奥深くて面白いところ。解釈によって人となりも様々。これって落語の魅力と似てませんか?
三遊亭鳳笑さん「ちはやふる」
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三遊亭鳳笑さん
鳳笑さんを観るのは二回目。前回は面白かったのですが、それ以上にびっくりしたって言うか、新感覚すぎて見終わって数日間は鳳笑さんのことばかり考えてました。感想が沢山ありすぎて、わからないんです。間違いなく今回一番観たかった噺家さんは鳳笑さんなんですが、楽しみと言うよりも感覚を整理したい。落語に行く前って毎回楽しみなんですが、なんかいつもの楽しみさとは違うんです。
今回のネタは「ちはやふる」。鳳笑さんを観ながら聴くのと声だけに集中して聴くのと印象のギャップがあるんです。変化球的なことをしてくるんじゃないかと思わせながら、落語自体はストレート。弱々しさのカケラもない。やっぱり今回では整理できず。でももう整理できなくていいんです。この混乱を全力で味わいたい! 多分家康のキャラクターを聞いても人物像がわからなさすぎて混乱すると思うのですが、鳳笑さんも同様です。キャラクターが混乱するくらいが、人間魅力的だしのめり込みたくなりんです。鳳笑さんが武将だったら根拠は無いけどなんか強そうです。
橘家文蔵師匠「転宅」
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橘家文蔵師匠
文蔵師匠は強面でかっこよく、親分感溢れる渋いキャラがビタっと似合います。「転宅」に出てくる泥棒はとにかくマヌケ。悪行を生業としている割に素直だし、ちゃんと食っていけてるのか心配になるくらい。でも、渋くてかっこいい文蔵師匠が演じるからこそ、情けない泥棒の可愛さが際立ちます。文蔵師匠が総大将なら頼りにもなりそうだけど、もし自分が文蔵軍の足軽なら、命を張って守ってあげたい可愛さと人間味があります。でもそれは、文蔵師匠だからって話であって、「転宅」の泥棒を旦那にしたいかどうかは別の話です。
林家たこ平さん「看板のピン」
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林家たこ平さん
たこ平さんは大阪のご出身だからか、関西弁での落語でした。今回のネタは「看板のピン」。わりと聴く機会が多い噺ですが、上方verだからかちょっと今まで聴いたものとは違いました。よく聴いてたほうでは親分と若い衆は普段から仲が良さそうで、無理に博打の親を取らせてましたが、今回のは親分あまり敬われていない…。なんか仲悪そう…。「看板のピン」にこんなハラハラさせられるとは思いませんでした。いや、上方verだからってわけじゃなく、たこ平さんの演じ方が渋くてかっこいい親分になった疑惑は拭えませんが。解釈の違いで印象がガラリと変わるのは歴史も落語も一緒なようです。
柳亭小痴楽さん「粗忽長屋」
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柳亭小痴楽さん
マクラの内容がかなり輩な小痴楽さん。ちょっと血の気が多そうなところが威勢が良くて、落語の世界から現代に飛び出してきたような雰囲気。だから、「粗忽長屋」のような噺はなんかリアルに聴けるんですよね。演じてる感が無いから軽く聴けるわりに、噺の風景は簡単に思い浮かぶ。粗忽長屋では野次馬が大勢いるなかで繰り広げられる噺なので、野次馬としてエキストラ出演できている気にもなる不思議な感覚です。
落語界に仲間が多そうな印象の小痴楽さんですが、今回のマクラを聴いて感じたのは、落語界以外の仲間も多そうな雰囲気。家康が天下を取れたのは、仲間によるところもかなり大きかったかと思います。血の気の多さといい仲間の多さといい、小痴楽さんの家康要素はかなり高いのです。今川家臣時代から家康に仕えていた足軽はきっとそのことが誇りだっただろうし、大大名になってから仕えた足軽たちに自慢してたかと思いますが、多分二つ目を忘れさせるトリっぷりの小痴楽さんを観たことは、何十年後に今川時代の家康の足軽と同じように自慢すると思います。
【この日のほかのお客様の感想】 「渋谷らくご」12/9 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ