渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2017年 12月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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12月11日(月)20:00~22:00 柳家わさび 柳家小八 立川談笑「芝浜」

「渋谷らくご」 立川談笑「芝浜」を聴く会

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プレビュー

 12月、落語界では「芝浜」というビックタイトルが演じられますが、この日、あの立川談笑師匠の「芝浜」が確実に聴けます。
ネタ出しをすることは渋谷らくごでも滅多にありませんが、天下一品の談笑師匠の「芝浜」2017年バージョンを、ぜひ生まれてはじめて「芝浜」を聴くという方にも聴いてもらいたく企画しました。
 すでに大真打の予感すら漂う気鋭 わさびさん、そして真打になった今年さらなる飛躍を見せた小八師匠。見どころありすぎ!


▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴14年目、2008年二つ目昇進。痩せ形で現在の体重は52kg。NHK-BSの「our SPORT!」に出演中。あらゆるスポーツの魅力と基礎知識を5分間で説明している。雨の日には長靴をはく。そこまで積極的にツイートしない。

▽柳家小八 やなぎや こはち
25歳で柳家喜多八に入門、芸歴14年目、2017年3月真打ち昇進。ラーメン二郎と一蘭が大好き。お父様の背が大きい。ワイヤレスイヤホンでなにかを聴きながら、煙草をくゆらせている姿が楽屋で観察できる。そこまで積極的にツイートしない。

▽立川談笑 たてかわ だんしょう
27歳で入門。芸歴25年目。2003年真打昇進。早稲田大学法学部を卒業後、司法試験勉強中に落語に出会い落語家になる。司法試験の暗記法を駆使して、入門してすぐに落語50席を戦略的にマスターする。先日、富士スピードウェイで落語をする。

レビュー

文:pem(ペム) Twitter:@shina1220  性別:女 年代:20代 趣味:宝塚・舞台全般観劇、時々ハロプロその他諸々 落語歴:1年


12月11日(月)20:00~22:00
柳家わさび(やなぎや わさび)『しの字嫌い』
柳家小八(やなぎや こはち)『五人廻し』
立川談笑(たてかわ だんしょう)『芝浜』


『初落語から1年が経ちました』

というわけで記念?に1年前に渋谷らくごで落語デビューした経緯を語りたいと思いますので興味のない人は飛ばしてください。興味のある方はこのままお付き合いください。

2017年11月にポッドキャストまくらに関するツイートが私のTLに現れた。それは私と好きなアーティストさんが一緒のフォロワーさんが落語も好きで定期的に落語関連のツイートが流れてきていたその内の一つでした(その為、渋谷らくごが始まった当初から存在は知っていて尚且つ興味もあり・・・しかし多趣味な私にとっては行きたい!の優先順位が低く常に後回しになり結局行けない日々が続いていた)このツイートは私にとって一際目をひくもので、すぐさま今まで手を出したことのなかったPodcastを使うことに。

ずっと落語には漠然と興味はあった為、落語のCDを借りては「おっさんがボソボソ喋ってるだけで面白味がわからない・・・」と挫折を繰り返していた私にとっては30代くらい?の若い落語家さんは初めて聴くのでかなり新鮮で、本題に入る前のすべらない話みたいなの面白い!!となりつつ本題の落語に入ると先入観が先ばしっていたのか、やはり面白味がわからないとなっていたところに、12月10日に配信された第65回の雷門小助六師匠の“擬宝珠”で世界が変わった。小助六師匠のまくらから本題にはいる流れが淀みなくあまりにもスムーズで心地よく落語の世界にいつの間にか入っていて(もはやいつの間に本題に入ってたの?!状態)そのまま落語の世界に魅了され、それ以降は今まで理解のできなかった落語のCDも他のPodcastの配信もこれまで聴けなかったのが嘘だったかのようにするっと聴けるようになり、むしろ何故これを今まで面白いことに気づかなかったの??!状態。あまりの興奮ぶりに3日後には渋谷らくごに飛び込んでおりました。

そんな感動体験をした1年前。その初めて落語に魅了された時と同じくらい今回の“立川談笑「芝浜」を聴く会”は私を興奮の渦に巻き込みました。終演後は「ありがとう、私に落語の魅力気づかせくれた小助六師匠、談笑師匠、そして渋谷らくご・・・」と思いながら帰路に着いたのでした。ということで長くなりましたが、ここからが本題の12月11日20時回のレビューになります。

柳家わさび「しの字嫌い」

  • 柳家わさびさん

    柳家わさびさん

まくらはお客さんと友達になる行為だとおっしゃったわさびさん。そんなまくらが苦手だと言いつつ、かなり時間を割いていらっしゃいました。ネタ探しのためにニュースは欠かせないそうですが今年は不作で頭を抱えていたそうですがその話を聞きながら私は今後ニュースを見るときにまくらのネタにできるかできないかが頭によぎりそうです。

わさびさんの時はいつも古典落語がくるのか新作がくるのか、まくらの時からソワソワ・ワクワクしちゃうんですが今回は古典でした。こういう噺を聞いてると間違えて素で“し”の字を発しちゃったりしないのかなドキドキしてしまいます。わさびさんの落語の登場人物は古典でも新作でも茶目っ気を感じられてなんとも言えず愛おしいです。


柳家小八「五人廻し」

  • 柳家小八師匠

    柳家小八師匠

小八師匠はWOWOWぷらすとの渋谷らくご生中継(毎月金曜20時の回はニコニコ生放送で生中継してます)で1度観て(実際は音声だけ聴いている状態)おりましたが、生では初めてでした。勝手にわさびさんみたいに線の細ーいイメージだったんですが、背格好もあって雰囲気があります。小八師匠はまくら少なめですぐ噺に入りました。

“五人廻し”渋谷らくご毎月通っていますが扇辰師匠・左談次師匠のものを以前聴いていて今回が3回目だったのですが、初めて聴くものは新鮮なのは普通だと思いますが同じ噺でも落語は本当セルフプロデュースなんだなぁと実感します。印象がだいぶ変わるので知ってる噺でも新鮮です。特に五人廻しは登場人物が多いので個性が更に出る気がします。聞くだけでも勿論楽しく笑ってしまうところ沢山ありましたが、動きでジワジワくる笑いが更にたっっっくさんあったので、もしもPodcast配信があった場合は「あっここ動きで笑いが起きたんだな」ってなること間違えなしです。


立川談笑「芝浜」

  • 立川談笑師匠

    立川談笑師匠

私にとって談笑師匠の落語を聴くことも初めてで芝浜も初めてで何もかも知らない状態で挑みました。レビューを見る限り“芝浜”はビッグタイトルらしいのですが、私にとっては渋谷らくごの公式ツイッターだけで宣伝されてる土曜の20時回の公開稽古会のツイートで“芝浜”っていうの毎月やってるなあくらいの感覚でした。あとなんかよくわからないけど今日は3人しかいないし長い噺なのかな?というレベル。

人情噺かな?と最初思ったんですけど、そう思いながら聴いてたら全然人情噺でもなんでもなかった“藁人形”の件が以前あって面を食らったので心を無にして挑みました。

本当に予備知識ゼロの状態で臨んだのですが、渋谷らくごでは珍しくネタ出ししている回ということで大抵の人がきっと談笑師匠の芝浜を目当てに、ここに焦点を合わせてきて、わさびさんも小八師匠もここに合わせてバトンを渡し談笑師匠もそれを分かった上での空間だったので会場を包み込む空気が研ぎ澄まされてました。要所要所に笑いが詰め込まれているところを(多分本来はこんなにないんだろうな)笑う時はドッと笑う!グッとくる場面はシーンっと静まり返ると演者も客席も同じテンションと熱量で空間を共有していたと感じました。そんな空間の中の落語が面白くないわけがない!!いつも以上に落語の世界に入り込んでしまい終演した瞬間、空調の効いた室内と気持ちの昂りによる体温の上昇により「え??暑っっ!さっきまで何にも感じなかったのに!むしろ寒かったよ?!」と頭だけでなく身体まで落語の世界に入り込んでしまった。そんな一席でした。こんな素敵な体験できるなら、今後も予習はせず復習するスタイルで行こうかなと思いました。あとシャブ浜、非常に聴いてみたいです。

来月のシブラクは1月12日(金)~16日(火)ですので気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか?来月まで待てないよ!・落語に少し興味湧いてきたよ!という方はPodcastや動画が1席丸ごと配信されてますので渋谷らくごHPのトップページにURL貼ってありますのでぜひご覧ください。


【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」12/11 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ