渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 12月8日(金)~12日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
この落語はどうやったら、もっともその味を引き出せるのか。「自分」を出すのではなく、「落語」という素材の味を引き出すことで結果として自分を表現する真摯で紳士な人たち。観ていて気持ちよくなるはずです。
渋谷らくごの爆笑王 桂春蝶師匠が、今宵はトリでなにを演るのか。
▽瀧川鯉津 たきがわ こいつ
36歳で入門、芸歴7年目、2014年二つ目昇進。プロレス好き。ホテルのバイキングは沢山食べちゃう系男子。最近は台湾の台南市で落語公演を行う。学校公演では給食を食べることを楽しみにしている。
▽柳亭市童 りゅうてい いちどう
18歳で入門、芸歴7年目、2015年5月二つ目昇進。悪い誘いをうけてダーツをはじめたが、最近スランプをむかえてしまっている。最近Photoshopにハマっている。最近「押忍!」だけで会話をすることにハマっている。
▽春風亭柳朝 しゅんぷうてい りゅうちょう
23歳で入門、芸歴23年目、2007年真打ち昇進。毎朝早く起きて、豆から挽いてホットコーヒーを入れている。銭湯巡りが趣味。雨の日はビタミンカラーの合羽を羽織り、水色の傘をさしている。最近、奥様のために餃子をつくる。
▽桂春蝶 かつら しゅんちょう
19歳で入門、芸歴23年目、2009年8月、父の名「春蝶」を襲名する。Amazonでシーラカンスのぬいぐるみ衝動買いし、いまでは一緒に行動している。蒲田に出現するシンゴジラの第二形態が好きでフィギュアを持っている。
レビュー
12月10日(土) 14時~16時「渋谷らくご」
瀧川鯉津(たきがわ こいつ)「動物園」
柳亭市童 (りゅうてい いちどう) 「蛙茶番」
春風亭柳朝 (しゅんぷうてい りゅうちょう) 「宗論」
桂春蝶(かつら しゅんちょう) 「約束の海~エルトゥールル号物語」
「落語で伝えたい想い」
本日トリの春蝶師匠。以前の高座で「高い壁は乗り越えた時、あなたを守る砦になる」というお言葉が心に刺さって、爆笑するだけが落語ではないことを知りました。今日はどんなお噺でしょう?また、春蝶師匠以外は初めて拝見する方々で、本日も期待度Maxです。瀧川鯉津さん「動物園」
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瀧川鯉津さん
新潟で美味しいモノを沢山食べて太ってしまったという鯉津さん。えび千両ちらし、へぎ蕎麦など、美味しい名物トークにお腹が鳴ります。ホントに新潟に行ってみたくなりました!(辛子へぎ蕎麦「わたや」については、思わず食べログで調べてしまったほど)。そして話は食べ物から動物のお噺へ。
楽で高給な仕事を探している怠け者の男が、希望通りの就職先を見つけます。それは珍獣動物園で、ブラックライオンの皮を被って檻の中で一日中ぶらぶらしている仕事。でも、この先に待っているのは、なんとホワイトタイガーとの死闘ショー!驚愕の結末に爆笑です。着ぐるみが似合いそうな鯉津さん、ライオンの歩き方もお上手でした。
ところでこのお話を聴いて「古典にブラックライオン?」と思いましたが、外国のジョークを元に明治時代に創作されたそうです。こんな古典と新作の中間のような近代的なお噺があるのですねえ。
柳亭市童さん 「蛙茶番」
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柳亭市童さん
素人芝居で勃発する役モメ。アマチュアバンドで誰がソロを取るかとか、カッコいい役を巡って争ったり不機嫌になるのは、今も昔も同じですね。
舞台番(客席監視員?)という面白くない役を担って不機嫌な建具屋の半公は、好きな女の子にイイところを見せようと張り切って、逆に恥をかいてしまいます。「こじらせ男子」をおバカに陽気に演じあげる市童さん、さすが。もしかして、キャラにあってるのかしら?
裸になったりフンドシを締め忘れて舞台に上がったり、NHK落語ザムービーでは絶対映像化&放映出来ない内容。隣の大学生カップルがキャハキャハ喜んでいました(特にカノジョの方)。渋谷らくごは、デートで来ても盛り上がること間違いなし、ですね。
春風亭柳朝師匠「宗論」
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春風亭柳朝師匠
朝ドラ「わろてんか」に来春出演されるという柳朝師匠。関東大震災で焼け出され関西にやって来る東京の落語家、という役どころだそうです。楽しみですね。こんな人気者の師匠も落語家入門の際は、ご両親がそれはそれは心配されたとのこと。親の理想と子供の希望が相容れないのは、良くあることです。
今日のお噺も、浄土真宗門徒の旦那さん、息子がクリスチャンになってしまったのが大の不満。親子で仏教vsキリスト教の教義を巡って大バトル。番頭さんも間に入っての大騒ぎになってしまいます。クリスマスっぽく「慈しみ深~き」と賛美歌合唱まであって、大変賑やかな一席でした。クリスチャンなんて随分モダンな?と思ったら、こちらも大正時代に創作されたそうです。
このお噺、イタリア映画「神様の思し召し」を思い出させます。医学部をやめて神父になりたいと言う息子に、神なんか信じない論理主義の父親が猛反対するコメディ。親の心子知らずは世界共通ですねえ。
桂春蝶師匠「約束の海~エルトゥールル号物語」
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桂春蝶師匠
関西の落語家さん達は、漫才師やサーカス団など色々な芸人さんとの交流が多いとのこと。交流どころか、ある意味「激流」に揉まれている、とか? 今日はそんな人間同士の「交流」がテーマです。
1890年、和歌山の村人による海難事故に遭ったトルコ軍艦エルトゥールル号救援と、1985年のトルコ人によるイラン・イラク戦争時の在イラン日本人救出という、二つの出来事。
「過去の善行が輪廻のように巡ってくる」というのは神秘的なようですが、これは史実。トルコ人による単なる「お返し」ではなく、人間同士の助け合いの精神が本質にあるのですね。クリスマスの季節に考えさせられるお噺です。
同じエピソードを題材にした映画「海難1890」を観たことがありますが、既に映像化された映画よりも、落語で聴く方が濃く印象に残りました。自分の耳で聴いて、自分の頭の中で映像化するからでしょうか。。。
「落語で伝えたい想い」がいっぱいの春蝶師匠。以前にも、渋谷らくご特別興行「ニライカナイで逢いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」、国立演芸場での「茶粥屋綺譚」などを拝見し、ただ面白おかしいだけではない落語の力に涙しました。これからもお噺の進化が楽しみですね!
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」12/10 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ