渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2018年 1月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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1月12日(金)18:00~19:00 立川左談次 三遊亭遊雀

「ふたりらくご」軽妙洒脱なオジサマの落語を聴こう

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プレビュー

 聴いてて楽しくって幸せになって疲れない落語。リラックスするような「軽妙さ」とオシャレさ。
 このお二人には、ひとつの落語家の理想像があります。この人たちの描く世界、醸し出す空気を良しとする。
 価値観も、両師匠にゆだねて、聴く方も軽い気持ちで聴いてみてくださいね。とっても素敵な1時間になります。


▽立川左談次 たてかわ さだんじ
17 歳で入門、芸歴50年目、1982年12月真打ち昇進。読書好き。談志師匠とおなじ病気にかかり、病院に出たり入ったり。その様子がツイッターにアップされており、痛々しいというよりは、ほほえましい。今年の自作タペストリーは一寸法師を描いたもの。

▽三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく
23歳で入門、芸歴30年目、2001年9月真打ち昇進。文部科学省のYoutubeチャンネル「かがやく先輩からのメッセージ」に出演。忘年会であられもない姿になることが恒例で、昨年末の忘年会でのあられもない姿もしっかりとツイッターで多く出回っている。

レビュー

文:余白 Twitter:@kuroiyohakuネットもリアルも引きこもり脱却を画策中


1月12日(土) 18時~19時「ふたりらくご」
立川左談次(たてかわ さだんじ)「四季の小噺 八月まで」
三遊亭遊雀(さんゆうてい ゆうじゃく)「花見の仇討ち」

2018年初のシブラクへ!
落語初心者の私は、お恥ずかしながら、大御所のお二方のお噺を聞いたことがなかったので、恐れ多さと楽しみすぎる緊張を抱えて会場へ。
大寒波襲来で極寒すぎる外気とは逆に、今日はいつも以上に暖かでやわらかい会場の空気感。

いつもと同じくらいの時間に到着したのですが、今日は一段と多くて座る場所に迷ってしまうほどの大盛況ぶりでした!
落語好きの年配の方もいつも以上に多い印象で、非日常でお洒落な憧れの世界に足を踏み入れたようなドキドキ感がありました。

立川左談次師匠「四季の小噺 八月まで」


  • 立川左談次師匠

    立川左談次師匠

左談次師匠が登場されると、待ってましたと言わんばかりに、会場中のお客様から大きな拍手が送られる大人気っぷり!
白に限りなく近いグレーの着物を着て登場された事もあって、神々しさ全開なお姿で、とても有難い光景を目にしているかのようでした!

左談次師匠が「声がこんなだけれど、顔がいいところで勘弁してください」という言葉を登場早々おっしゃると会場がどっと笑いに包まれ、スタートしました。
その後も左談次師匠が発せられる一言一言に会場が湧き上がります。
「言葉を理解しようとせず、感じて下さい。フォースを感じて下さい。」との発言にさらに会場に笑いが巻き起こっていました。
そう言われると、左談次師匠がだんだん”マスター・ヨーダ”に見えてくるから不思議です!

お噺は、四季の小噺。
スケッチブックに書かれた文字を使いながら、春夏秋冬に合わせた1月〜12月までの小噺を話してくださいました!
小噺の連続は初体験だったので、どんな感じなのだろうと思いながら聞いていましたが、左談次師匠のやわらかい味のある語り口や、絶妙に存在する間の感じも合間って、とても面白すぎて、癖になってしまい、何時間でも聞いていたい感じでした!
今回はお時間の関係で、8月までだったので、続きが気になります!

左談次師匠は声が擦れていらっしゃるとの事でしたが、すごく聴きやすく、心にしみてくるようなお声でとても素敵でした!
そして、なんだか2018年を乗り切るパワーをもらえた感じがします!
まさか、これがフォースを感じるという事なのでしょうか‥
また、左談次師匠の小噺も聴きたいですし、お噺も聞いてみたいです!


三遊亭遊雀師匠「花見の仇討ち」


  • 三遊亭遊雀師匠

    三遊亭遊雀師匠

遊雀師匠が登場されると、会場中に大きな拍手とお客様の笑顔が溢れかえります!
黒い着物に渋い落ち着いた黄金色のような袴を履いて登場された、白髪ヘアーの遊雀師匠。
渋かっこいいルックスに大人の色気が漂っていらっしゃいます。

はじめにお話されたのは、先ほど、ずっと袖でお聞きになっていたという、左談次師匠へのご感想。
エロにも毒にも愛がこもっていて、一言一言がしみて、今なら師匠に抱かれてもいいと思ったぐらいだ!
というまさかの爆弾発言に、会場中がどよめき立って、大笑いでした!

お噺は、寒い日には、春が恋しくなるという事から、「花見の仇討ち」をしてくださいました。
なんてお洒落な演目の選び方をされるのだろうという感動とともに、「花見の仇討ち」は名作で大人気なお噺ですが、私は聞くのが初めてだったので、さらに期待が高まりました!

花見の最中に父の仇を見つけ出した巡礼兄弟が仇討ちをするという芝居をし、周りの花見に来ている見物客を驚かせたところで、六十六部が登場してネタバラシをするという算段を、花見の趣向として企てようとするが、いざ当日はというと…といったお噺なのですが、はじめはふわっとした感覚で聞いていたのですが、 遊雀師匠の威力によって気がつくとグググッと話の中に引き込まれていき、まるでその場にいる見物客のような感覚におちいり、いつのまにか夢中で噺を聞いていました!

噺のスピード感があってワクワクする、春風の様なテンポもすごく楽しい気持ちにさせてくれます。
程よく小高い山の上に咲いた大きな桜の木が、そよそよと風に吹かれて、柔らかな花吹雪がまっている風景が目の前に広がっている様でした!

めちゃくちゃ面白くて、笑いすぎて、実際に体がポカポカあったかくなって、春の陽気に包まれた感じがして最高な時間でした!
遊雀師匠の素晴らしさを肌で感じることができ、もっと色んなお噺が聴きたくなりました!


立川左談次師匠、三遊亭遊雀師匠、お二方ともに本当に素敵でした!
そして、お客様の間にもずーっと笑いが絶えない暖かな会場で、最高の時間を過ごせました!
2018年、これからのシブラクも楽しみです!

そして、全然関係ないのですが、
遊雀師匠もツイッターをやってらっしゃるのかなと思って検索してみたのですが、2009年7月に「パソコン打ってます」と一言だけつぶやかれているアカウントが存在したのですが、これは遊雀師匠ご本人なのでしょうか…気になります。


【この日のほかのお客様の感想】 「渋谷らくご」1/12 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ