「創作らくご」未来の落語の創造主 | 初心者でも楽しめる「渋谷らくご」

渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2018年 1月12日(金)~16日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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1月15日(月)20:00~22:00 立川吉笑 三遊亭粋歌 瀧川鯉八 林家彦いち

「創作らくご」未来の落語の創造主

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プレビュー

 人の名前が現代の名前っぽくないだけで入り込めない、時代がちがうというだけで想像に壁ができる。
 そういうSFがちょっと苦手な方でも楽しめるのが創作らくご。
 限りなく古典らしい、現代感覚の古典を演じる吉笑さんから、OL経験を活かし人間観察による細かい描写を得意とする粋歌さん、映画や演劇が好きな人なら必ずなにか感じることのある鯉八さん、
 そして、創作一筋まもなく30年の彦いち師匠。 
 落語ってこんなにわかりやすくて、こんなに楽しくて、こんなに深いものなのかと、感じてもらえる会だと思います。


▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門7年目、2012年4月二つ目昇進。オンラインサロン「立川吉笑GROUP」を立ち上げ、新しい活動を試みている。酒豪。酒豪のあまりヴィレッジヴァンガードが発行する『酒場人』という雑誌に取り上げられた。

▽三遊亭粋歌 さんゆうてい すいか
2005年8月入門、現在12年目、2009年6月二つ目昇進。28歳で突如会社勤めをやめて、落語家になる。子育てのまっただ中。ツイッターでは美輪明宏の名言にいいね!を押しがち。ねこの動画にいいね!を押しがち。

▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴11年目、2010年二つ目昇進。2017年第三回渋谷らくご大賞「おもしろい二つ目賞」を受賞。「長崎みそ五郎」という昔話をもとにしたキャラクターに似ているとツイッターで指摘をうける。3月23日内幸町ホールで独演会「チャオ」を開催。

▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。
創作らくごの鬼。キャンプや登山・釣りを趣味とするアウトドア派な一面を持つ。FULLCLIPというバッグメーカーと彦いち師匠がコラボ。彦いち師匠監修のバッグが好評発売中。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち、だけど落語大好き。2018年初寄席で見た噺家さん=瀧川鯉八さん@末廣亭お正月初席2部)

1月15日(月)20時~22時「創作らくご」
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「断捨離」
三遊亭粋歌(さんゆうてい すいか)「影の人事課」
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)「多数決 」
林家彦いち(はやしや ひこいち)「青畳の女」

「共感できる!楽しみ」


明けましておめでとうございます。
忘年会・新年会続きで太ってしまいますねえ。
お正月、医者やってるトモダチに久しぶりに会ったので聞いてみました。

「クリスマスからお正月にかけて、太らない方法はあるの?」
「正月からクリスマスまでダイエットしなはれ」

と、こんな小噺のようなことが日常生活には沢山転がっていますねえ。。

創作を行う噺家さん達は、ちょっとした日常のことにも発想を得て面白い作品を生み出して行くのかな。。と、今日はそんなことを考えさせられました。

立川吉笑さん 「断捨離」

  • 立川吉笑さん

    立川吉笑さん

1月2日は故・談志師匠のお誕生日(らしい)とのことで、立川流新年会を楽しまれたという吉笑さん。前座さんによる気まずい余興をやめるなど新年会改革を行ったという、なかなかのチャレンジャーです。

今回のテーマはトキメクかトキメカナイかで仕分け・処分していく「断捨離」。私もやったことあるので、人ごとではありません。

大晦日に実家に帰るとお母さんが大掃除中。使わない美顔器(←私も持ってる、耳が痛い)やお父さんとお揃いのマフラー、学生時代にお父さんと交わした交換日記にトキメカナイお母さん。すったもんだの末、捨てられない交換日記はスキャンして電子書籍でデータ保管という落とし所に。。これは割と現実的!私もアルバムにあった大量のアナログ写真をスキャンしてデジタル化したことがあります。このお噺通り、「なんで紙じゃダメなの?」「場所とるから!」という両親とのやり取りもリアルにありました。

全く「家庭あるある」で何度も頷いてしましたよ。年末の大掃除中に思いつかれた噺なのかしらん?


三遊亭粋歌さん 「影の人事課」

  • 三遊亭粋歌さん

    三遊亭粋歌さん

ハリウッドでも今問題になっている、パワハラ&セクハラ問題。権力を利用して上手く立ち回る人、そのしわ寄せを一人で抱え込む人。吉笑さんが「家庭あるある」なら、粋歌さんのは「会社あるある」です。さすがOL経験者さん、共感できます。友人が「プレミアフライデーのせいで、次の月曜日がブラックマンデーになった。会社は何も分かっていない。」とボヤいていたのを思い出しました。働き方改革は、あまり功を奏していないようです。

仕事が終わらない不安から、残業ズ・ハイになってしまった、こじらせOL マツウラさん。怠け者のセクハラ上司と、専務の息子でチョット注意するだけでTwitterに悪口を拡散する甘ったれ後輩のせいで仕事が回らず残業続き。でも彼女には、管理人さんとして潜伏し社員を見張る「影の人事課」タチバナさんという味方ができます。

疲れた心のオアシスとして落語をきくマツウラさん。最後は使えない上司と後輩に「大工調べ」ばりの啖呵を切るのでした!仕事中にスィーツブログを更新するバカ後輩に「てめぇーなんざスィーツの角に頭ぶつけて、くたばりやがれー!」というのに、お腹がよじれるほど笑いました!粋歌さん、お見事。

マツウラさんの戦いはこれからも続くようです。シリーズ化して欲しい!ハリウッドでリメイクして欲しい!マツウラさんはアン・ハザウェイ、影の人事課はメリル・ストリープが合っていそうですね。


瀧川鯉八さん「多数決」

  • 瀧川鯉八さん

    瀧川鯉八さん

貴乃花ファンだという鯉八さん。味方が少なく孤高の人だから多数決では負けてしまうけれど、貴乃花は最後には勝つ!と信じているそうです。

今回のテーマは多数決。小学校で誰がウサギの飼育を行うか?について生徒間でバトルが勃発。何とか多数決で決めようとするけれど、なんとなく不満が残ってなかなか決まらない。
映画「ブタがいた教室」のように、最後はウサギを処分しちゃうとか、食べちゃうのか?と心配しましたが、結局「多数決の結果で何だか分からないけど物事は決まってしまう?」というようなオチはさすがでした!必ずしもベストな方法ではないけど、広く採用されている多数決。理由は、他に良い方法がないから?でしょうか。

ありそうなシチュエーションでクスッと笑えて、ちょっと問題提起。演劇的な彼の落語は海外で上演してもウケそうですね。そういえば鯉八さんのご挨拶は、いつも「チャオ!」!


林家彦いち師匠「青畳の女」

  • 林家彦いち師匠

    林家彦いち師匠

落語では「待ってました!」、格闘技では「行けー!」など、プレイヤーの士気を高める「掛け声」。柔術では「妥協しないでー!」というらしいです。なんか使えそう。

鬼の女子柔道家・トモエ。普段はブレないのに、気になる男子が応援に来て調子がおかしくなってしまいます。髪留めをピンクにしてみたり、57キロ級と自分の体重をさらされているのさえ恥ずかしくなってしまったり。そして試合にも負けてしまいます。。
負けた彼女にダメ出しして、傷つけてしまう彼。最後は彼女の気持ちを分かってくれない彼にとうとうキレて、座布団相手に愛の告白&巴投げ。師匠のパントマイム技?が光ります。

私の脳内でこのお噺の主人公は完全に松本薫選手になっていましたが、彼女も結婚・出産されているのですよね。試合時の鬼の形相と可愛いらしい笑顔にギャップ萌え。強く可愛い女子にはハッピーエンドが待っているのでした。。


今日の演者さん達をみていて、ジム・ジャームッシュ監督の最新作「パターソン」~日常の出来事や乗客の会話など何でも詩にしてしまうバス運転手・パターソンの物語~を思い出してしまいました。「今」を切り取る創作落語、私達に共感できるところが多くて、古典とは又違った楽しさがあります。これからも沢山の名作が生まれると良いですね!妥協しないでー!!

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」1/15 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ