渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 7月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
押しも押されもせぬ人気者、神田松之丞さん。どこかで松之丞さんを知り、今日はじめて聴くという方にも、このオール二つ目の会はオススメです。普段寄席では一緒になることはない、在京の4団体から将来の楽しみな方々が揃いました。
圓楽一門会の鯛好さん、落語協会の市童さん、立川流落語会の寸志さん、落語芸術協会、そして講談協会の松之丞さん。プロレスでいえば、多団体交流戦のような様相ですが、高座も闘いです。それぞれの出る順番でのベストの仕事をしてくださると思います。トリの松之丞さんは言わずもがなですが、帰っても全員の高座を思い出せるほど、良い会になると思います。
▽三遊亭鯛好 さんゆうてい たいこう
40歳で入門、芸歴9年目。2013年2月に二つ目昇進。年上の女性がタイプ。中日ドラゴンズ好き。ロックがものすごく好きとのこと。1日中ラジオを聴いていて、気になる全ての番組を録音して聴いている、「神田松之丞問わず語りの松之丞」リスナー。
▽柳亭市童 りゅうてい いちどう
18歳で入門、芸歴8年目、2015年5月二つ目昇進。悪い誘いをうけてラップをはじめ、ついにお寺でラップ公演をおこなう。カラオケの3時間コースを利用して稽古をしているので、受付の店員さんに「3時間コースの人」と顔を覚えられてしまっている。
▽立川寸志 たてかわ すんし
44歳で入門、芸歴7年目、2015年二つ目昇進。2017年渋谷らくごたのしみな二つ目賞受賞。緊張を楽しめる性格。渋谷らくごに出演するときは自分なりのテーマをツイッターで公開する、今回のテーマは「今回は風貌だとか口跡だとか芸風だとか加味すると絶対正解出ない番組。」
▽神田松之丞 かんだ まつのじょう
24歳で入門、芸歴11年目、2012年5月二つ目昇進。プロレス好き。7月20日に『松之丞 講談入門』が河出書房新社から出版される。TBSラジオにて「神田松之丞問わず語りの松之丞」が日曜日23時から放送中。
レビュー
7月15日(土) 17時~20時 「渋谷らくご」
三遊亭鯛好 (さんゆうてい たいこう)「替り目」
柳亭市童 (りゅうてい いちどう)「お見立て」
立川寸志 (たてかわ すんし)「あくび指南」
神田松之丞 (かんだ まつのじょう)「真景累ヶ淵-宗悦殺し」
最近、素晴らしい映画を観ました。キューバ音楽のドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス)」です。
バンドを始めた時、リーダーのギタリストはなんと92歳!信じることを続ける人に必ず花は咲き、花の命は長~く、才能ある人は歳を重ねるごとに美しくなる、ということを教えてくれる映画でした。日本の落語家も同じですよね。
本日は、鯛好さん&寸志さんと40代で弟子入りされたお二人、お若~い市童さん、そして未来の人間国宝(であろう)神田松之丞さん。他の寄席では一緒にならない4団体からの人気者が勢揃い、将来有望なオール二つ目さんの会。これからも末長く活躍されるであろう演者さんに、今、出会えた喜びを噛み締める時間となりました!
三遊亭鯛好さん「替り目」
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三遊亭鯛好さん
各地の学校寄席では低学年、幼稚園など小さなお子さんまでお相手するので、さあ大変。子供たちが高座に上がって来たり、帯を解かれて着物を脱がされそうになったり、イタズラ放題だったそうです。やれやれ。
お噺は、酔っぱらいの大将が車屋さんに呼び止められて、自分の家の前で車に乗ってしまう。それに呆れる、おかみさん。と言えば、お馴染み「替り目」ですね。怒りながらも、ご亭主には従順なおかみさん。そんなおかみさんに甘え放題なご亭主。なんとなく可愛らしい夫婦の、笑っちゃうような言い争いの結末は?最後は心が暖かくなります。
今日は暑いせいか頭まで赤くなって熱演する鯛好さんのお姿に、クスッと笑っちゃうけど楽しい気持ちになりました。
柳亭市童「お見立て」
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柳亭市童さん
次から次へと嘘を並べる悪賢い花魁・喜瀬川(五人廻し、三枚起請にも登場する悪女ですね)、花魁と客の間で右往左往する下男の喜助も面白いけれど、何と言っても市童さん演じる杢兵衛お大尽が秀逸でした!田舎者でいかにも女子に嫌がられそう、だけど悪い人ではなさそう。子だぬきのような可愛らしい市童さんが演じると、可笑しい一方で、だんだんお大尽が可哀想に見えて来ます。「喜瀬川、呼べっちーの。早くヨベッチノ、ヨベッチーノ!(って、クロアチアのサッカー選手の名前にありそう。あ、FIFA決勝戦残念でした、クロアチア)」とか、テンポの良い田舎言葉も面白いです。田舎言葉つながりで、市童さんの「百川」も観てみたくなりました!いつか是非、高座にかけていただきたいです。笑えそう~。
立川寸志「あくび指南」
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立川寸志さん
タイプとしては、1.落語マニア(自分で演じてみると聴くのも楽しくなる)、2.真面目な自己啓発型(喋り方を磨いて仕事に役立てたい。でもプレゼンでカミシモきるの?、笑)、3.自己表現欲を満たす型(これは理解できる!でも、演技派の生徒さんによる「カッコいいタヌキ」には笑いました)。
なんか楽しそう。寸志さんが先生なら、私も習ってみたーい!
お噺は、何か変わった習い事をしてみたい好奇心旺盛な男。「あくび指南所」という変わった看板を見て、興味を持ちます。渋る友達を無理矢理連れて、「カッコいいあくびの仕方」のお稽古に励むのですが、なかなか上手くいかない。真剣になっていく男がひどく滑稽でした(あくびの発表会まであるらしい!)。
良く考えてみれば、あくびの仕方を稽古をするなんて、随分ナンセンスでおバカな噺!でも、魅惑のハスキーボイスでテンポ良く語られると、つい引き込まれてしまうのは、さすが寸志さんマジックです!
神田松之丞「真景累ヶ淵-宗悦殺し」
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神田松之丞さん
今日は長編「真景累ヶ淵」から「宗悦殺し」。
江戸時代に人気が高かったという怪談は、階級社会の鬱憤を晴らすものだったとか。不当に扱われていた町人に代わって、お侍に復讐を果たしてくれる超自然的な「何か」を待望する気持ちから生まれたものであると。
「お化けや幽霊は、人の心の闇(心の病、神経の病)が生み出したもの」ということを気に留めて噺を聞いて欲しい、という松之丞さん。上手いことおっしゃいますね。「祟り」や「呪い」の正体も、ここにあるのでしょう。
人殺しの罪から自滅して行く侍の姿を、鬼気迫る表情で語っていただきました。松之丞さんの目力凄いですよ、本当の狂人みたい!吸い込まれて、どこか別の世界に連れ去られそうでした。
さて去年、谷中の全生庵に、このお噺の原作者である三遊亭円朝師匠遺愛の幽霊画を観に行きました。どんなに恐ろしい絵かしらとビクビクしていましたが、禍々しいものではなく、意外と儚げでロマンチック。しかも美人の幽霊ばかりで、グッド・テイスト。今年も円朝忌が行われる8/1から公開されるそうです。
また、今月は松之丞さん&松鯉先生の怪談シリーズも浅草の寄席で楽しめるそうですよ。夏はやっぱり幽霊ですね、レッツゴー!
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」7/15 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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