渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 9月14日(金)~18日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
最初に落語を聴くなら、やっぱり古典落語かな、と思っている人も多いはず。
隅田川馬石を聴く会に、二つ目になってそろそろ二年というキャリアの柳家小はぜさん登場。
名付けて「古典本寸法の会」! 普段なら決してふたりで行うことのないキャリアの二人が、贅沢な18時の公演で実現しました。
▽柳家小はぜ やなぎや こはぜ
29歳で入門、芸歴7年目、2016年11月二つ目昇進。サラリーマンだったが、29歳の時に思い立って落語家になった経歴をもつ。この夏は可愛い白いTシャツをよく着ていた。渋谷らくご初登場。
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴25年目、2007年3月真打昇進。高座を終えて楽屋を出る速度が渋谷らくごの出演者の中で最も早い。時間がたくさんあるときのマクラも、オチ優先でなくコラム的な味わいで楽しい。この夏も毎朝10時に隅田川沿いを走り続けた。
レビュー
文:キュウぴろTwitter:@piroguramu 芸人
柳家小はぜ(やなぎや こはぜ) 「提灯屋」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき) 「品川心中」
30分の間、柳家さんは一体何にエネルギーを使って、僕らは一体何に耳を傾けていたのか、そんなことはどうでもいい時もある。これも落語。と言われればそれで終わり。 ただ、そんなものを平気な顔で30分も話されていたのかと気付いたときに、なんなんだ!!と、おかしくなる。なんとなくバーンアフターリーディングという映画を思い出した。 僕がそんな提灯屋を聞いている途中に思ったのは、ただただ落語を観に来ているお客さんはお笑いに対する心の余裕がある人達なんだな、ということ。
僕が思うに落語は、テレビやお笑いライブでみる漫才やコントのようにセカセカしたお笑いとはかけ離れた場所にある、のびのびしたお笑いの世界。
だからそれを楽しめる人間も、のびのびしている。
聞く力、拾いとる力、そして、お笑いに対する心の余裕がある人間。
聞くところは聞いて、笑うところは笑って、笑うところじゃないところでは無理に笑わない。そんな風に、ものすごく自然に楽しんでいる。
話し手が吹かせる風に身を委ねている感じ。信頼。自然に身を委ねているから、小さな不自然にも気づいて、拾いとって笑う。
セカセカしたお笑いを求めている人にはそれが出来ない。どこで笑うのかを探そうとしたり、信頼ではなく過剰な期待をしたり、観てる側が勝手に何らかの無意識のプレッシャーを感じている。それが悪いというわけではないけれど。ただ、そうだよなぁと思う。
だから、こういう落語を観れたことと、こういう落語を観てる人達を観れたことが、とても嬉しかった。
僕は心のどこかでいつも「のびのび」に憧れているので。
それでも流石に落語家さんの正面に座る勇気は無かったので、1番端っこで。
隅田川馬石さん。この人が出てきて話し始めた瞬間に僕は悟る、以前観た神田松之丞さんとは少し違う怪しさ。とにかくこの人は、気持ち悪い。それはそれは、もうものすごく良い意味で、気持ち悪い。なにが気持ち悪いのかうまく言えない。ただこの人と2人でファミレスで喋っていたら目が疲れそうだ。
そして、一瞬、この人おうちで喋ってんのか?と思うくらいラフな話し方でマクラを終えると、しなやかにお話に入る。
品川心中。
しかし話に入るとなんでこうも落語家さんは色っぽくなるのか。そしてその色っぽさが、また気持ち悪さを倍増させる。
話を始めてすぐに、お客さんはウケるウケる。僕は不思議に思う。恐らくこの話は、本当はこんなにウケる話じゃないんじゃないか?それでも本当にものすごくウケていた。考えなくても答えは出ていた。
この人は演技、表情、間、それらを持ち前の気持ち悪さを織り交ぜて全力でぶん回して暴れているから。結果、笑ってしまう。違う人がやったらここまでウケないだろうな。 その気持ち悪い動きと表情と、メリハリで、セリフじゃないところまで笑いに変えるすごさ。
隅田川馬石さんの落語を観ながら改めて僕は「あぁ、真ん前に座らなくてよかった」と心底思いました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」9/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
写真の無断転載・無断利用を禁じます
柳家小はぜ(やなぎや こはぜ) 「提灯屋」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき) 「品川心中」
◉柳家小はぜ、提灯屋
-
柳家小はぜさん
30分の間、柳家さんは一体何にエネルギーを使って、僕らは一体何に耳を傾けていたのか、そんなことはどうでもいい時もある。これも落語。と言われればそれで終わり。 ただ、そんなものを平気な顔で30分も話されていたのかと気付いたときに、なんなんだ!!と、おかしくなる。なんとなくバーンアフターリーディングという映画を思い出した。 僕がそんな提灯屋を聞いている途中に思ったのは、ただただ落語を観に来ているお客さんはお笑いに対する心の余裕がある人達なんだな、ということ。
僕が思うに落語は、テレビやお笑いライブでみる漫才やコントのようにセカセカしたお笑いとはかけ離れた場所にある、のびのびしたお笑いの世界。
だからそれを楽しめる人間も、のびのびしている。
聞く力、拾いとる力、そして、お笑いに対する心の余裕がある人間。
聞くところは聞いて、笑うところは笑って、笑うところじゃないところでは無理に笑わない。そんな風に、ものすごく自然に楽しんでいる。
話し手が吹かせる風に身を委ねている感じ。信頼。自然に身を委ねているから、小さな不自然にも気づいて、拾いとって笑う。
セカセカしたお笑いを求めている人にはそれが出来ない。どこで笑うのかを探そうとしたり、信頼ではなく過剰な期待をしたり、観てる側が勝手に何らかの無意識のプレッシャーを感じている。それが悪いというわけではないけれど。ただ、そうだよなぁと思う。
だから、こういう落語を観れたことと、こういう落語を観てる人達を観れたことが、とても嬉しかった。
僕は心のどこかでいつも「のびのび」に憧れているので。
◉隅田川馬石、品川心中
-
隅田川馬石師匠
それでも流石に落語家さんの正面に座る勇気は無かったので、1番端っこで。
隅田川馬石さん。この人が出てきて話し始めた瞬間に僕は悟る、以前観た神田松之丞さんとは少し違う怪しさ。とにかくこの人は、気持ち悪い。それはそれは、もうものすごく良い意味で、気持ち悪い。なにが気持ち悪いのかうまく言えない。ただこの人と2人でファミレスで喋っていたら目が疲れそうだ。
そして、一瞬、この人おうちで喋ってんのか?と思うくらいラフな話し方でマクラを終えると、しなやかにお話に入る。
品川心中。
しかし話に入るとなんでこうも落語家さんは色っぽくなるのか。そしてその色っぽさが、また気持ち悪さを倍増させる。
話を始めてすぐに、お客さんはウケるウケる。僕は不思議に思う。恐らくこの話は、本当はこんなにウケる話じゃないんじゃないか?それでも本当にものすごくウケていた。考えなくても答えは出ていた。
この人は演技、表情、間、それらを持ち前の気持ち悪さを織り交ぜて全力でぶん回して暴れているから。結果、笑ってしまう。違う人がやったらここまでウケないだろうな。 その気持ち悪い動きと表情と、メリハリで、セリフじゃないところまで笑いに変えるすごさ。
隅田川馬石さんの落語を観ながら改めて僕は「あぁ、真ん前に座らなくてよかった」と心底思いました。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」9/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
写真の無断転載・無断利用を禁じます