渋谷らくごプレビュー&レビュー
2018年 9月14日(金)~18日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
3連休の最終日は、渋谷らくごで決まり!
しっかりと聴かせる落語で定評のある古今亭志ん五師匠がトリをとる公演です。
上方落語からは三四郎さんが、お忙しいなかかけつけてくださいますので、最初から笑う準備をどうぞ!
「声優落語天狗連」で場内を爆笑の渦にした圓太郎師匠、そして浪曲の麒麟児 玉川太福さんが、ありったけの力でお客様を楽しませます。
骨太な芸の演者たち。その裏にたしかに感じる芸への探求心を感じてください。
▽桂三四郎 かつら さんしろう
22歳で入門、現在入門14年目。疲れた日はサウナに入ってリフレッシュする。先日「あさイチ」に出演をした。スマホのゲームアプリである「PUBG」にハマっている、立川吉笑さんとオンラインで戦っている。
▽橘家圓太郎 たちばなや えんたろう
19歳で入門、芸歴37年目、1997年3月真打ち昇進。オヤジの小言マシーンぶりは渋谷らくごでも爆笑を生んでいる。将来PTAの会長になるのではないかと危惧している。食前と食後に身体に悪いと知りながら「源氏パイ」を食べてしまう。しかし最近は「源氏パイ」ではなく「きゅうり」を食べるようにしているらしい。
▽玉川太福 たまがわ だいふく
1979年8月2日、新潟県新潟市出身、2007年3月入門、2012年日本浪曲協会理事に就任。2017年文化庁芸術祭大衆芸能部門の新人賞を受賞。この夏は、サウナで熱中症のような症状になってしまった。この秋ソニーミュージックから浪曲CDが発売される。
▽古今亭志ん五 ここんてい しんご
28歳で入門、芸歴15年目、2017年9月真打昇進。渋谷らくごの公式読み物どがちゃがでは、志ん五師匠の似顔絵コラムが掲載中。スケートボードにはまって、次々に大技を習得している。公式ウェブサイトがすごく可愛い。
レビュー
9月17日(月)14:00~16:00 「渋谷らくご」
桂三四郎(かつら さんしろう) 「かずとも」
橘家圓太郎(たちばなや えんたろう) 「甲府ぃ」
玉川太福(たまがわ だいふく)・玉川みね子(たまがわ みねこ) 「西村権四郎」
古今亭志ん五(ここんてい しんご) 「明烏」
「旅をしませんか」
心地よい気候のなか、渋谷の街をふらっかふらっかと歩いてユーロライブへ。座席にぼんやりと座りながら14時になるまで、沢木耕太郎『一号線を北上せよ ヴェトナム街道編』をつらつらと読む。バスに乗って北上していく旅の情景を読みながら、私は座りながら味わう旅へと向かう。二番太鼓が聞こえてきた、本を閉じる。
桂三四郎「かずとも」
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桂三四郎さん
「かずとも」は初めてお葬式を体験する男の子の物語。亡くなったおばあちゃんのお葬式、初めてのことばかりで「ねぇねぇ、、」と母親に向かって質問を繰り返していくおかしさ。バカバカしさの中にふと感じるのは、男の子がどのように育ってきたのかということ。
お葬式を不思議がる様子からは、親族との関わりが薄い育ち方をしてきたのではないかという情景が見えてくる。おじいちゃんの入れ歯を不思議がる様子からは、祖父母とは同居していなかった事情が伺える。お坊さんを不思議がる様子からは、彼が様々な人と関わらずに育ってきたのではないかと思えてくる。
未知の出来事に興味津々の男の子と、投げやりながらも周囲の評価を気にする母親の姿は、実に現代的な一つの風景だ。けれどもそのおかしさは、実は私自身のおかしさなのかもしれない。
橘家圓太郎「甲府ぃ」
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橘家圓太郎師匠
二つ目は座るときの仕草。高座にあがってきた圓太郎師匠は、手に持った扇子でスッと着物を押さえて座布団に座る。その何十、何百、何千、何万回と繰り返されてきたであろう、その仕草の美しいこと。あの仕草を見ただけで、はあぁと息がもれてしまう。
三つめは口の悪さ。悪口というのはいい気持ちのするものではないが、圓太郎師匠の言葉はそうではない。ちょっとした口の悪さ、話の視点が本当に心地よい。これは文字にするとニュアンスが伝わらないで問題になってしまうのだろうなと思うときに、ライブの楽しさを噛みしめる。
四つ目はとにかく落語が面白い。こってりとした部分の笑いあり、さっぱりとした後味の笑いがあり、実に心地よい「こっさり感」がある。どんな物語も最高なのだけれど、今回の「甲府ぃ」ももちろん最高だった。
真っ当な心意気を感じる豆腐屋の主人、真っ当な心意気に応える善吉、奥さんも娘も近所の奥さんも、みんなステキな人たちで。だからこそあたたかな笑いに包まれて、いやぁ最高だった。ホント好き。
玉川太福・玉川みね子「西村権四郎」
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玉川太福さん・玉川みね子師匠
本日は古典の日で、「西村権四郎」。お酒大好きな名君の蒲生氏郷と、真っ正直な家来の西村権四郎のやり取り。酔っぱらいながらも家来とのコミュニケーションを楽しもうとする姿が面倒であり、ほほえましい。私自身がお酒を呑むのが好きだけれども、弱くてすぐにふにゃふにゃになってしまうから、そのように見えてくるのだろう。
そしてお酒の席での「やっちまったなぁ」と後悔するのもまた常で、反省することもまた然り。そしてきっかけがあればまた呑みたくなってしまい、再び「やっちまったなぁ」と後悔することを繰り返す。
物語の世界をふわふわと漂いながら、そこにある自分自身の愚かさと愛らしさをギュッと抱きしめたくなるような時間。あっという間であった。
古今亭志ん五「明烏」
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古今亭志ん五師匠
落語の世界にフーターズはないけれども、同じように女性が出てきて驚くのは吉原の噺。そして初めてお店に行くことの驚きと、そこで起こるハプニングといえば「明烏」。
志ん五師匠の「明烏」は時次郎の初心な愛らしさというよりも、ちょいとダマしつつ吉原へと連れていく源兵衛と太助に焦点が合っているように感じた。どこか時次郎の初心さを微笑ましく見守るような視点のあたたかさ。私もうんうん(´―`*)とほわりとした表情になってしまう。
気付いたら私も時次郎に焦点を当てる年齢から、源兵衛と太助に焦点を当てる年齢になっていたのかもしれない。齢を重ねるとはこういうことなのかもしれないと、しみじみ。次は子どもを吉原へと向かわせる父親に焦点を当てる年齢になってしまうのだろうか。いや、私はまだまだ時次郎だ。
落語の世界、浪曲の世界、物語の世界。初めてのお葬式の場、初めての江戸と甲府、酒宴の楽しい場を挟んで、初めての吉原。今日も様々な時代、様々な場所へ旅をすることができた。最っ高だったある祝日の一時。
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「渋谷らくご」9/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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