渋谷らくごプレビュー&レビュー
2019年 1月11日(金)~15日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
初心者向け:たまんない。松之丞さんだけじゃない。その前に遊雀師匠が登場。この組み合わせは以前にもあり、トリの前に遊雀師匠が何パーセントくらいの力でなのをやるのかでトリを計っている、と松之丞さん。さらには演芸ファンにもぜひ聴いてもらいたい新星 小はぜさん。講談ともちがう気持ちよい語りを目指す談吉さんと、最高の舞台が整いました。満員御礼。
アングル:聴かせる小はぜさん、の前に出る談吉さんがどう笑わせてくれるのか。そして遊雀師匠がどう繋ぐか。見巧者も楽しめる構成です。
▽立川談吉 たてかわ だんきち
26歳で入門、芸歴11年目、2011年6月二つ目昇進。最近「若おかみは小学生!」を観た。「ドラゴンクエストVR」をやってみたい。最近は、電車につかわれているネジや道に落ちているネジまでを写真に収めてツイッターにアップしている。
▽柳家小はぜ やなぎや こはぜ
29歳で入門、芸歴7年目、2016年11月二つ目昇進。サラリーマンだったが、29歳の時に思い立って落語家になった経歴をもつ。寒くなると白いワイシャツに紺色のセーターを着る傾向がある。物事に動じないタイプ。
▽三遊亭遊雀 さんゆうてい ゆうじゃく
23歳で入門、芸歴31年目、2001年9月真打ち昇進。私服がおしゃれで、メガネがビタミンカラーで素敵。写真を撮られるときは、メガネをおでこにかけなおす。酒豪。
▽神田松之丞 かんだ まつのじょう
24歳で入門、芸歴12年目、2012年5月二つ目昇進。プロレス好き。2020年2月に真打昇進することが決定した。最近は『神田松之丞 講談入門』を出版。TBSラジオにて「神田松之丞問わず語りの松之丞」が日曜日23時から放送中。
レビュー
1月15日(火)20時から「渋谷らくご」
立川談吉(たてかわ だんきち) 「千早ふる」
柳家小はぜ(やなぎや こはぜ) 「厄払い」
三遊亭遊雀(さんゆうてい ゆうじゃく) 「二番煎じ」
神田松之丞(かんだ まつのじょう) 「慶安太平記 鉄誠道人」
2019年1月15日20時~22時、渋谷らくご この日の演者さんの並びがとにかく最高だった。
なんというか、たった四人の演者さんによって、ざっくりと落語の全てを見せられたような、そんな感覚。そんな番組だった。
<立川談吉「千早ふる>
-
立川談吉さん
聞き取りやすく、それでいて流れていかず頭に留まる言葉たち。その流れるようなテンポに「千早ふる」というお話も合っていてものすごく良かった。
特に談吉さんの場合、表情がずっと朗らかなのが実にポップで いいなと思った。
さぁ落語の寄席が始まりましたよ、準備はい いですか?と言わんばかりの、この上ないトップバッター。
<柳家小はぜ「厄払い」>
-
柳家小はぜさん
それが談吉さんのリズムを見せられた後だと、尚更ガツンとくる。
僕が小はぜさんの落語を観たのは2度目か3度目。観る度に思う、小はぜさんは”なんかいい”のだ。なんかいい。
この”なんかいい”ってとても大切だと最近僕は思う。
思い返せば人生の楽しみは”なんかいい”との出会いが作ってきた。
父親が買っていた週刊誌で初めて女性のヌードを盗み見た時もそうだった。
初めてBUMP OF CHIKENを聴いた時もそう、なんかいい、が僕の興味を作っていた。
でも、なんかいいって思うものに出会うことってあまりない。 だからこそなんかいいって思うものに出会うことはすごく大きなことで、ひょっとしたらそれに出会うために生きていると言っ ても過言ではない気はする。
なんか好きだなぁ、って、何かに夢中になる時って大抵そんなもので、本当にいいものって意外とそんなものだ。
そういうものが見つかるから人生が楽しいって思える。
説明ができることは頭で終わってしまう。心まで響いてこない。なんかいいってことは、頭で分かんないことがあるから、心まで突き刺さる。
僕は、なんかいいって思うものを大切にしていきたい。だから、小はぜさんも好き。
<三遊亭遊雀「二番煎じ」>
-
三遊亭遊雀師匠
まずトリの神田松之丞さんをいじるところから始まり、そしてお話に入る。
そこで演者さんそれぞれに関係性がある事を再認識させられ、 会場がなんだか温かい気持ちに包まれる。
そしてお話に入ると、これは、なんというのか、大きな声を出 したり、言葉をまくしたてているわけではないのに、ど迫力、 圧巻。
表情をくっちゃくちゃにしながらいろんな役を演じ分け、それでも間やトーンはバシバシ決めてくる。
ただひたすら心の中で 呟く、あぁ、なんだこれ。 “言葉”にしようと思えばいくらでもできるけれど、感じた瞬間に思ったことが”言葉”ではなかったから、いっそ”言葉”にしたくないという気持ちの方が大きい。
ただ、このおっさんバカだ なぁ、すげーな、なにしてんだ?って思った。それだけでわかってもらいたい、という気持ち。
名人芸って観ないとわかんないから。やっぱこの人凄いわ。
ただひたすら、僕もこんな風なことを人に思わせる芸人になりたいと思っていた。
<神田松之丞「慶安太平記、鉄誠道人」>
-
神田松之丞さん
神田松之丞さんを観たのはこれが2回目で、実はこの日は神田松之丞さんをもう一度観たいという思いで僕は会場にやって来た。
落語を観に来るようになって初めて演者さんを選んで観に来た。それくらい観たかった。
再び観た神田松之丞さんはやっぱり凄かった、恐らく講談師の中で今、神田松之丞さんより凄い人いないんじゃないかと思うくらい。この人の講談しか観たことないけれど。 この人が話すと、その映像のカメラワークまで伝わってくる。
右から左へ、左から右へ、下から上へ、そしてアップでドーン! みたいな。
そしていつの間にか目が回りそうになって、何度か 瞬きをさせられる。立ち上る炎の音も聞こえてくる。
それが全て一人で喋ってるだけなのだから意味が分からない。松之丞さんは、呼吸全てを伝えることに使って、立体的な映像を建築していく。
マジで凄い。
本当に、冗談抜きで、一回スパイダーマンとかハリーポッターとかを、講談でやってみて欲しい。この人のスパイダーマンを聞いてみたい。
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