渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2019年 2月8日(金)~12日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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2月11日(月)17:00~19:00 柳家小八 快楽亭ブラック 春風亭昇々 瀧川鯉斗「明烏」

「渋谷らくご」真打昇進間近!鯉斗の「明烏」

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プレビュー

初心者向け:イケメンなんて言われている昇々さんと鯉斗さん。少し昔はイケメンと呼ばれていた小八師匠(いまも言う人は多い)、だいぶ昔はイケメンだったブラック師匠! ある意味「イケメン落語会」なのですが、今回は鯉斗さんから「明烏」をやりたいという嬉しい連絡があり、11ヶ月ぶりに渋谷らくごの高座にあがります。なので演目を公開しています。
5月には真打に昇進する鯉斗さん、本格派、海千山千の大ベテラン、そして爆笑奇人のあとに、お客さんを納得させることができるのか!? こうご期待。今月もっともドキドキの会です。
アングル:前半の小八師匠からブラック師匠は、古典落語を360度嘗め回すように楽しめる一時間、ブラック師匠の芸歴50年を迎えるこの時期での、衰えぬ本寸法の語り、これは落語ファンにも初心者にも聴いていただきたい。この会は、昇々さんがどう笑わせてくれるかにかかっているかもしれませんね。

▽柳家小八 やなぎや こはち
25歳で柳家喜多八に入門、芸歴16年目、2017年3月真打ち昇進。最近IQOSからプルームテックに変えた。ファッションにこだわっていて、コートの裏地が派手。高座前はモンスターを飲んで集中する。最近ツイッターで顔文字をつかっている。

▽快楽亭ブラック かいらくてい ぶらっく
16歳で立川談志に入門、芸歴50年目。2000年、「快楽亭ブラック毒演会」が文化庁の芸術祭賞優秀賞を受賞する。歌舞伎から日本映画まで深い知識があり、東京MXテレビ「激論!サンデーCROSS」では映画評論家として出演している。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。楽屋で仲間を驚かせるためパンツ一枚になることがある。今年のおみくじの運勢は「小吉」、最近は髪の毛がぺったりとしている髪型。

▽瀧川鯉斗 たきがわ こいと
21歳で入門、芸歴12年目、2009年4月二つ目昇進。2019年5月に真打ち昇進する。元・名古屋の暴走族の十二代目総長。バイト先に偶然あらわれた鯉昇師匠に惚れ込んでしまい突然入門をする。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち。落語、漫画、アニメ、映画が大好き。)

柳家小八(やなぎや こはち) 「初天神」
快楽亭ブラック(かいらくてい ぶらっく) 「お血脈」
春風亭昇々さん(しゅんぷうてい しょうしょう) 「いびきクラッシャー、明美32才」
瀧川鯉斗(たきがわ こいと) 「明烏」

プレビューによると今日は「ある意味、イケメン落語会」だそうです(なんで、ある意味?笑)。和装に憧れて、「着物姿のカッコいい男性を見てみたい!」というのが落語を観るキッカケの一つであったので、イケメン揃いというのは嬉しい限りです。が、イケメン落語家にも「本格派、海千山千の大ベテラン、そして爆笑奇人」と色々ある様ですねえ。
トリは、渋谷らくご11ヶ月ぶりの登場という鯉斗さん。そして、演目は「明烏」。奥手なお坊ちゃまが大人の男になっていくお噺は、今年5月には真打昇進する鯉斗さんにピッタリですね!

柳家小八師匠 「初天神」

  • 柳家小八師匠

    柳家小八師匠

似てるイケメンは、ディーン・フジオカ。
先日、フランスの天才子役主演の「ジュリアン」という映画を観た時、上映後のイベントとして(天才子役繋がりで?)寺田心くんのトークショーがありました。クールに受け答えする心くんは可愛いけど、コマッシャクレという言葉が実にピッタリ(ゴメンナサイ)。
というわけで、今日の小八師匠のハジけた金坊は、私の脳内で完全に心くんになっていました。
この大人を振り回す金坊くん、なかなか賢い。欲しい物をあの手この手で買ってもらったり、結構なコミュニケーション・スキルの持ち主。坊っちゃん、グッジョブ!とっても楽しい初天神でした。
「小児は白糸の如し」と言われるそうですが、その後、変な色に染まってワルになるかどうかは、周りの大人次第ですね。
ところで、厚切りジェイソンも言っていましたが、悪い事を始めることを「手を染める」、悪い事をやめる事を「足を洗う」。染めたのは手だろー!?日本語って不思議〜。

快楽亭ブラック師匠 「お血脈」

  • 快楽亭ブラック師匠

    快楽亭ブラック師匠

似てる?(元)イケメンは、ローワン・アトキンズ。
美味しんぼという漫画を読んで、快楽亭ブラックというキャラが登場するのを思い出し、実在するのか!と驚きました。星条旗の羽織を着て登場、真っ赤な装いのブラック師匠。でも、落語は文字通り「ブラック」。
「聖☆おにいさん」もビックリのキリスト様とお釈迦様の放送禁止秘話からの始まりです。ちなみに、イスラム教を冒涜した某ラッパーは死刑宣告を受けていますから、宗教ネタには要注意。
そして、お噺はお釈迦様から信濃の善光寺へ。
善光寺は昔、額に印を押してもらえば罪が許され、極楽往生間違いなしという免罪符「血脈の印」を売り出しました。しかし、ハンコ一つで皆極楽へ行ってしまうため、地獄へ来る亡者がいなくなり、鬼達は一気に不景気に。
地獄の衰退を阻止すべく、閻魔大王も幹部を集めて対策会議。結局、腕のいい大泥棒を雇い血脈をの印を盗み出すほかないという案が出され、そのミッションに石川五右衛門が選ばれます。さて五右衛門、まんまと善光寺の宝物殿に忍び込みますが、印を盗んで無事地獄に戻れたのでしょうか!?まさかの結末が待っています!お噺の流れの中に、明石市長の暴言、新井浩文の暴行事件など時事ネタを巧妙に織り込んでのシニカルな一席でした。
1969年に立川談志師匠に弟子入りしたという芸歴50年を迎えるブラック師匠。そういえば、今年は人類の月面着陸50周年でもあります。ニール・アームストロング船長の「人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩」から50年経つのですねえ。継続は力なり、人類の偉大な力は科学技術だけではないですね。

春風亭昇々さん 「いびきクラッシャー、明美32才」

  • 春風亭昇々さん

    春風亭昇々さん

似てるイケメンは、二宮和也。
今日のテーマは「言いたくて、言えないこと(を、ついに言ってしまうこと、爆!)」。
先ずはご自身の師匠に対する不満が全開。師匠の古城巡りに付き合ったり(興味ねえよ!)、師匠宅の大掃除と忘年会がクリスマス当日だったり(だから結婚できないんだよ!)とシャウト!落語家の道は厳しいのデスネ。
お噺は、離婚を巡って喧嘩中の夫婦が登場。離婚の原因は、なんと夫のイビキ!でも、夫のイビキの原因はストレス。ストレスの原因は妻の不満、そして妻の不満の原因は夫のイビキ!という、どうしようもない悪循環。この堂々巡りのお噺、どうするの!?と、途中で心配になりましたが、案外可愛らしいオチでした。
夫の激しいイビキに謎の寝言、激怒する妻など、昇々さんの狂気の演技は健在でした!久しぶりに怖いもの、観た。。

瀧川鯉斗さん「明烏」

  • 滝川鯉斗さん

    瀧川鯉斗さん

似てるイケメンは、長瀬智也(タイガー&ドラゴンのイメージで)。
ファッション雑誌「VOCE」でのインタビュー記事「落語業界のニュースター・瀧川鯉斗は噺も生き方もイケメンすぎ!」を拝見しました。モデルみたいなお写真と、元暴走族総長というライフストーリーに惹かれました。
ちなみに、国土が狭いシンガポールで育った私は、暴走族を見た事がありません。が、勝手にマッドマックスやワイルドスピードみたいなのを想像しています。
知っているようで、知らないものを想像するのは楽しいですよね。吉原や遊郭も時代劇や映画の舞台としてイメージはあるものの、実際を知っている人はほとんどいないイマドキ。
昨年夏、トモダチが日本に遊びに来たときに、入谷の朝顔市に連れて行ったついでにウロウロ下町見物していたら、吉原大門跡に出たことがあります。周りには、なーんにも無かったです。
さて、カタブツ若旦那がおとっあん&悪友に騙されて怯えながら吉原で一夜を明かす(けど、最後には気に入ってしまう?)、お馴染み「明烏」。何度も聴いたことがありますが、鯉斗さんバージョンで際立ったのが女性の演技の色っぽさ。女将さんも花魁も、目付きや仕草が艷やか〜。ついでに言うと、前半での若旦那の女々しさ、吉原に対する嫌悪感、ちょっと可愛いキャラが相まって、もしかしてこの若旦那は今盛んに話題となるLGBT要素があるのでは!?などと思わせてくれる、ちょっとスリリングな明烏でした。

鯉斗さんは、4月からBSテレ東でスタートの番組「ヤジXキタ」に案内人としてもご出演予定とのこと。今後ますますのご活躍が期待されます!

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「渋谷らくご」2/11 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ
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