渋谷らくごプレビュー&レビュー
2019年 12月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
二つ目の一花さん。昨今では珍しくなくなってきた女性の落語家さんの一人ですが、古典を演じるとどこか性を感じさせない不思議な魅力があります。聴いていてとっても気持ちの良い落語。
真打の百栄師匠は、自作の創作落語、古典落語と双方手掛ける実力者。寄席の爆笑をひとりでかっさらっていく愛らしい存在です。はじめての方でも短い1時間、とても満足していただける会になると思います。
▽春風亭一花 しゅんぷうてい いちはな
26歳で入門、芸歴7年目、2018年3月に二つ目昇進。落語家のアイドルユニット「おきゃんでぃーず」を2018年結成、青色を担当している。写真を撮られる時は右手を広げるボーズをする。この時期は大きめの着るカーディガンを着て、指先だけ出すスタイル。
▽春風亭百栄 しゅんぷうてい ももえ
年を取らない妖精のような存在。さくらももことおなじ静岡県清水市(現・静岡市)出身、2008年9月真打ち昇進。
落語協会の野球チームでは、名ピッチャー。アメリカで寿司職人のバイトをしていた。日常生活の様子はわからないが、猫好き。
レビュー
文:海樹 Twitter:@chiru_chir_chi(初めて怪談会に参加した12月)
12月13日(金)18:00~19:00 「ふたりらくご」
春風亭一花(しゅんぷうてい いちはな) 「厩火事」
春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ) 「七つのツボを圧す男」
朝から布団に籠城したい日が続くこともあれば、ぼんやりとお日様に包まれながらお茶を飲みたくなるような日もあるのが、今年の十二月です。今日のふたりらくごはどちらも「春風亭」という、ほんわかとした空気に包まれるような印象の亭号なので、あったかい一日になるかなと思ったら厳しく寒い日だった。
渋谷駅の地下道から地上に出るときに、誰に伝えるわけでもなく「さむっ」と思わず口から飛び出る。家電量販店の前を通り、百貨店の前にそそり立つクリスマスツリーを横目に見つつ、足早に会場へと坂路を急ぐ。会場前に着き、透明なドアを開けて入ろうとすると長い列が目に入った。「あれっ、並ばないといけないのかな」と思いきや、この後の20時からの会の行列とのこと。この寒さのなか凄いなと敬服しながらも、私はあたたかな空気に包まれた「春風亭」のお二方が出演される会場へと入りました。
「厩火事」は、そんなふんわりとした一花さんの口調で聴いていると、昔話の読み聞かせをしてもらっているような感覚になりました。亭主とけんかをして仲人のところで相談をする髪結いの奥さんは、しっかり者のようでいて抜けたところのある不思議な人物。面倒そうに相談に乗る仲人のおじさんは、しっかりと相手の発言を受け止めながらどのように対応すればいいのかを切々と語る真摯な人物。昼間からお酒を飲んでいるどうしようもない亭主は、夜ご飯は一緒に食べたいからと奥さんの帰りを待つ律義さも持ち合わせた人物。 当たり前ですけど、ある一面を見ただけではその人が本当はどんな人物なのかわかりません。そもそも私がどんな私なのかは自分にだってわからない。そんなことをしみじみ思うほど、一人一人の登場人物の性格が見えてくるような「厩火事」でした。
春風亭昇太(言わずと知れた笑点の司会であり、落語芸術協会の会長)
春風亭一之輔(こちらも落語のみならずメディア出演も多いので上位に)
春風亭小朝(落語が好きな方だけでなく名前の知られた人物)
春風亭一花(まさかの四番目に先ほど上がられた一花さんが!驚き)
春風亭ぴっかり(様々なメディアに出演されているため上位に)
春風亭柳橋(当代は八代目、歴史のある名前のため)
春風亭昇吉(昇太師匠のお弟子さんで東大出身、JAPAN MENSA 会員)
春風亭昇也(昇太師匠のお弟子さんで成金メンバー)
春風亭柳昇(言わずと知れた落語の歴史に名前が残る人物)
春風亭一朝(一之輔師匠・一花さんの師匠であり、寄席には欠かせない人物)
あれっ、百栄師匠出てこない。ヤフーは百栄師匠の良さがわかっていないのかな、ずいぶん野暮な検索エンジンがあるものだ。そんな自分の名前がなかなか出てこない流れから、「七つのツボを圧す男」へ。
日本のどこかにある「指圧マッサージ北斗」が舞台の噺。店主の指圧師である「ケンシロウ」は、施術中に少年マンガの話を持ち出してきます。とにかく自分の名前を出して欲しくてたまらない様子の「ケンシロウ」は、お客さんに「80年代のヒーローで一番強いのは誰か?」と条件を搾って質問を重ねていく。
この自分の名前を出して欲しいのに、なかなか相手が言ってくれなくてじれったい物語といえば「石松三十石船」の会話の場面が思い起こされます。
石松「次郎長の子分で一番強いのは誰だ?」
男「清水の大政だ」
石松「じゃあ二番目は?」
男「小政だな」
石松「それじゃあ三番目は?」
男「大瀬半五郎だろう」
この石松と男との会話が「七つのツボを圧す男」では、
ケンシロウ「80年代のヒーローで一番強いのは誰だ?」
客「孫悟空だ」
ケンシロウ「じゃあ二番目は?」
客「キン肉マンだな」
ケンシロウ「それじゃあ三番目は?」
客「ペガサス星矢」
といった感じにケンシロウとお客さんの会話としてパロディ化されていました。この後も様々な綺羅星のごとく輝く80年代ヒーローの名前と、ケンシロウの何故自分の名前が出てこないのかとじれったい気持ちが表現されていてケラケラと笑ってしまいました。まくらからの流れを含めて満足。
会場の外に出ると、先ほどよりも長く列が連なっていた。この後の会にはきっと熱い何かが生まれるのであろう。しかしこの「春風亭」二人の会にも、ふわふわとした中にある熱い何かを感じた。「春風や闘志いだきて丘に立つ」ふんわりとした春風と熱い思いがぶつかるような句を思い出す、そんなステキな一時間だった。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」12/13 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
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12月13日(金)18:00~19:00 「ふたりらくご」
春風亭一花(しゅんぷうてい いちはな) 「厩火事」
春風亭百栄(しゅんぷうてい ももえ) 「七つのツボを圧す男」
「春風や闘志いだきて丘に立つ」
朝から布団に籠城したい日が続くこともあれば、ぼんやりとお日様に包まれながらお茶を飲みたくなるような日もあるのが、今年の十二月です。今日のふたりらくごはどちらも「春風亭」という、ほんわかとした空気に包まれるような印象の亭号なので、あったかい一日になるかなと思ったら厳しく寒い日だった。
渋谷駅の地下道から地上に出るときに、誰に伝えるわけでもなく「さむっ」と思わず口から飛び出る。家電量販店の前を通り、百貨店の前にそそり立つクリスマスツリーを横目に見つつ、足早に会場へと坂路を急ぐ。会場前に着き、透明なドアを開けて入ろうとすると長い列が目に入った。「あれっ、並ばないといけないのかな」と思いきや、この後の20時からの会の行列とのこと。この寒さのなか凄いなと敬服しながらも、私はあたたかな空気に包まれた「春風亭」のお二方が出演される会場へと入りました。
春風亭一花「厩火事」
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春風亭一花さん
「厩火事」は、そんなふんわりとした一花さんの口調で聴いていると、昔話の読み聞かせをしてもらっているような感覚になりました。亭主とけんかをして仲人のところで相談をする髪結いの奥さんは、しっかり者のようでいて抜けたところのある不思議な人物。面倒そうに相談に乗る仲人のおじさんは、しっかりと相手の発言を受け止めながらどのように対応すればいいのかを切々と語る真摯な人物。昼間からお酒を飲んでいるどうしようもない亭主は、夜ご飯は一緒に食べたいからと奥さんの帰りを待つ律義さも持ち合わせた人物。 当たり前ですけど、ある一面を見ただけではその人が本当はどんな人物なのかわかりません。そもそも私がどんな私なのかは自分にだってわからない。そんなことをしみじみ思うほど、一人一人の登場人物の性格が見えてくるような「厩火事」でした。
春風亭百栄「七つのツボを圧す男」
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春風亭百栄師匠
春風亭昇太(言わずと知れた笑点の司会であり、落語芸術協会の会長)
春風亭一之輔(こちらも落語のみならずメディア出演も多いので上位に)
春風亭小朝(落語が好きな方だけでなく名前の知られた人物)
春風亭一花(まさかの四番目に先ほど上がられた一花さんが!驚き)
春風亭ぴっかり(様々なメディアに出演されているため上位に)
春風亭柳橋(当代は八代目、歴史のある名前のため)
春風亭昇吉(昇太師匠のお弟子さんで東大出身、JAPAN MENSA 会員)
春風亭昇也(昇太師匠のお弟子さんで成金メンバー)
春風亭柳昇(言わずと知れた落語の歴史に名前が残る人物)
春風亭一朝(一之輔師匠・一花さんの師匠であり、寄席には欠かせない人物)
あれっ、百栄師匠出てこない。ヤフーは百栄師匠の良さがわかっていないのかな、ずいぶん野暮な検索エンジンがあるものだ。そんな自分の名前がなかなか出てこない流れから、「七つのツボを圧す男」へ。
日本のどこかにある「指圧マッサージ北斗」が舞台の噺。店主の指圧師である「ケンシロウ」は、施術中に少年マンガの話を持ち出してきます。とにかく自分の名前を出して欲しくてたまらない様子の「ケンシロウ」は、お客さんに「80年代のヒーローで一番強いのは誰か?」と条件を搾って質問を重ねていく。
この自分の名前を出して欲しいのに、なかなか相手が言ってくれなくてじれったい物語といえば「石松三十石船」の会話の場面が思い起こされます。
石松「次郎長の子分で一番強いのは誰だ?」
男「清水の大政だ」
石松「じゃあ二番目は?」
男「小政だな」
石松「それじゃあ三番目は?」
男「大瀬半五郎だろう」
この石松と男との会話が「七つのツボを圧す男」では、
ケンシロウ「80年代のヒーローで一番強いのは誰だ?」
客「孫悟空だ」
ケンシロウ「じゃあ二番目は?」
客「キン肉マンだな」
ケンシロウ「それじゃあ三番目は?」
客「ペガサス星矢」
といった感じにケンシロウとお客さんの会話としてパロディ化されていました。この後も様々な綺羅星のごとく輝く80年代ヒーローの名前と、ケンシロウの何故自分の名前が出てこないのかとじれったい気持ちが表現されていてケラケラと笑ってしまいました。まくらからの流れを含めて満足。
会場の外に出ると、先ほどよりも長く列が連なっていた。この後の会にはきっと熱い何かが生まれるのであろう。しかしこの「春風亭」二人の会にも、ふわふわとした中にある熱い何かを感じた。「春風や闘志いだきて丘に立つ」ふんわりとした春風と熱い思いがぶつかるような句を思い出す、そんなステキな一時間だった。
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「渋谷らくご」12/13 公演 感想まとめ
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