「渋谷らくご～長講二席～」60分一本勝負！

文:とも朕 Twitter：@toyono2010　（ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き！)

快楽亭ブラック（かいらくてい　ぶらっく）-吉住万蔵
蜃気楼龍玉（しんきろう　りゅうぎょく）-真景累ヶ淵〜宗悦殺し〜

自粛中にとうとう「ゲーム・オブ・スローンズ」をイッキ見してしまいました。斬新な映像と神秘的な内容が魅力的な、シーズン8まである超大作。でも面白いストーリーに見入っているとアッ！という間です。

という様に、その世界にどっぷり浸かれる長編は大好きです。まだある、まだ終わらない、と夢中になって没頭する瞬間が好きです。
今日は各師匠の持ち時間60分、普段の倍の長さ。映画を観る様に、どっぷり楽しみたいです！

快楽亭ブラック師匠「吉住万蔵」

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  快楽亭ブラック師匠

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ユニオンジャックのお着物＆羽織で派手に登場！現在イギリスで開催中のG7とのコーディネートでしょうか？
今日のお噺は、ちょっと怪談のようなスタートからのヒューマンドラマ。熊谷で一夜限りの関係を持った宿屋の娘が、吉原の花魁となって再び現れた！その恋の結末は、いかに？
「吉住万蔵は成瀬巳喜男の名作、浮雲の落語版ともいえる噺で、登場人物全員が愚かな選択をしてその結果不幸な結末を迎えるという噺で、そこが何ともリアルで演りたくなるのです」と、ブラック師匠のTwitterにありました。
この「愚かな選択をして不幸な結末を迎える」というのはその通りでしたが、その愚かさにちょっと同情してしまったりして。。ああ、可笑しくも哀れ。
今も昔も人の本質は（良くも悪くも）あまり変わらない様ですね。

蜃気楼龍玉師匠「真景累ヶ淵〜宗悦殺し〜」

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  蜃気楼龍玉師匠

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夏は怪談の季節。今日のような雨の晩にピッタリのお噺。宗悦殺しは講談で聴いたことがありますが、リズミカルな講談バージョンより、龍玉師匠が目力たっぷりで淡々と語る落語バージョンの方がもっと怖かったです。
盲目の鍼師で金貸しの宗悦は、旗本・新左衛門宅に借金の取り立てに行ったものの、逆ギレされて斬り殺されてしまいます。これでは斬られ損で浮かばれません。哀れ。。と思ったら、やっぱり怨霊キター！
龍玉師匠の鬼気迫る演技に、「見えない目をカッと開き」化けて出た宗悦の怨みの表情がハッキリと見える様でした。
宗悦だけでなく、身分は上なのに借金までして困窮している（故に宗悦に手をかけてしまった）新左衛門のメラメラと燃えるような不満と怒りの形相も、幽霊以上に怖かったです。
何人かで同じ映画を観れば、同じ映像が頭に残ります。が、同じ落語の演目を観ても、頭の中で見た想像上の映像は一人一人皆違うと思うと不思議です。それが落語のたまらない魅力！
凄く引き込まれてしまって、アッという間でした。それで、亡くなった宗悦や旗本夫妻の子供達は？これからの展開は、どうなるの？？もっと聴きたくて悶絶してしまいます！
龍玉師匠の真景累ヶ淵、連続シリーズで全部聴いてみたいものです！

写真：武藤奈緒美Twitter：@naomucyo
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