渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2021年 9月10日(金)~15日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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9月12日(日)14:00~16:00 橘家文吾 立川こしら 柳家わさび 古今亭文菊

「渋谷らくご」若手競演 ~そうだ、文菊を聴こう!〜

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プレビュー

 40代に入ってさらに成長著しいと評判の文菊師匠を、いま聴かずにいつ聴くのか! 笑わせもするし、泣かせもする変幻自在の高座は常に聴く人の心を打ってやみません。
 この公演は、創作に古典にメディアの仕事にも精力的なわさび師匠、整った顔立ちでありながらニヒルな視点で笑いを誘う文吾さん、落語界最大のバグモンスターこしら師匠と、30代から40代の若手が競う落語界。楽しい公演になること間違いナシ!
 ぜひ落語はじめてという方にも、強力にオススメしたい番組です。わさび師匠が、こしら師匠と文菊師匠に挟まってどういう高座に組み立ててくるのか要チェック!

▽橘家文吾 たちばなや ぶんご
21歳で三代目橘家文蔵師匠に入門、芸歴8年目、2018年11月二つ目昇進。本名が「中西翼」とカッコいい。シブラクに行く前には、カレー食べがち。先日はじめて「柳陰」を飲んだ。朝、大谷選手の野球中継を見て過ごす。

▽立川こしら たてかわ こしら
21歳で入門、芸歴24年目、2012年12月真打昇進。着物からお米までいろいろなものを自作する。自宅を持たず、ホテル暮らしをしている。いまは対馬に興味がわいている。公式ショップでは、落語の手ぬぐいから卓球セットまで売っている。

▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴18年目、2008年二つ目昇進。2019年9月に真打昇進。痩せ形で現在の体重は52kg。わさび師匠のお母様がたまに渋谷らくごに見にくる。先日、空手道連盟を取材したところ、「柳家わさび」の名前が入っている道着をもらった。。

▽古今亭文菊 ここんてい ぶんぎく
23歳で入門、芸歴19年目、2012年9月真打昇進。私服がおしゃれで、楽屋に入るとまず手を洗う。前座さんからスタッフにまで頭を下げて挨拶をする。まつげが長い。最近ダイエットに挑戦中。大学では漕艇部に所属、熱中していたが、オリンピックでボートは見ない。

レビュー

文:ふーすけ (アイドルとお笑いと美術館と神保町が好きな大学4年生)

橘家文吾(たちばなや ぶんご)-干物箱
立川こしら(たてかわ こしら)-火焔太鼓
柳家わさび(やなぎや わさび)-券売機女房
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)-猫忠

◎橘家文吾さん

  • 橘家文吾さん

海外のアニメのキャラクターのような眉毛のコミカルな動き、言葉が通じなくても世界共通で笑えそう
眉毛の動きだけじゃなく、大きく見開いた目には会場全体の注目をぐっと引き寄せる力があるように感じた、めちゃくちゃ悪い人役も似合いそうだなぁ 所々で見られる手の動きにめちゃくちゃ惹き込まれた〜!しなやかで手だけで踊っているみたいだった
吉原の女性を演じている時の手の動きの色っぽさよ!指の先までいい女!

◎立川こしらさん

  • 立川こしら師匠

しょっぱなからトップスピード!フルパワー!見ていて清々しいくらい駆け抜けるお笑い!
まくらや噺の本筋とは逸れた部分でたっぷり遊んで本筋のストーリーでは大胆な割愛をぶちかます、でもその行き当たりばったり感が見ていて楽しかったし、なんだか心向くままに遊んでるのがかっこよかったなぁ
噺の本筋とはきっと全く関係の無いおかみさんによる時雨くんとの妄想劇場めちゃくちゃ面白かった
時雨くんにキュンキュンするおかみさんを演じるこしらさんはかわいい乙女にも見えたし、一言一言ばっちりキザにキメにくる時雨くんを演じるこしらさんは反町隆史にも見えた
こしらカラーに染めまくってたけど噺全体として映像でイメージしやすかった、着物着てる姿、ちょんまげ姿、なんだかめちゃくちゃ鮮明に思い浮かんだなぁ

◎柳家わさびさん

  • 柳家わさび師匠

年齢性別国境を越えた登場人物を声で演じ分けていて、他の噺家さんとはまた違う、繊細で、でもジワジワ圧倒される表現力があった……!
特におじいさんを演じている時にされていた両肩を引き上げて両手で鎖骨あたりから肋骨あたりまで上からゆっくり撫で下ろす動作は、声の見事な表現も相まって一瞬でわさびさんが年老いたおじいさんに見えた
うわぁ本当におじいさんそのものだと思ってたら次はかよわい学生の声まで超リアルに演じちゃうんだもん、すごすぎ
古典っぽさをあまり残さない創作落語もめちゃくちゃ面白いなぁ

◎古今亭文菊さん

  • 古今亭文菊師匠

のったりとした登場からは想像つかないほどの表現のキレ、アクティブさ!
抜けているけどどこか愛らしい人、威厳たっぷりにどっしりと構えた人、人に化けていたことがバレてしまった哀愁のある猫、それぞれを声や顔を使って演じ分けるだけではなく、登場人物によってまとっている雰囲気までガラリと変えられる表現力、えげつない
どの場面切り取っても表情や繊細な動作など視覚から伝わる部分にも丁寧にユーモアを込めて表現されているから、たぶん音がなくても文菊さんの落語はおもしろいってわかるんだろうなぁ