渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2021年 9月10日(金)~15日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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9月12日(日)17:00~19:00 古今亭駒治 春風亭昇々 入船亭扇里 瀧川鯉八

「渋谷らくご」真打四人 トリ:現代の寓話 鯉八

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プレビュー

 真打が四人揃った日曜の夜。現代の寓話を紡ぎつづける瀧川鯉八師匠は、渋谷らくごを象徴する存在です。
 ただし、創作一本槍は鯉八師匠だけではない! 「新作落語家」と名乗りつづける駒治師匠も、創作落語の歴史のなかでは大きな存在です。真打昇進したばかりの昇々さんは2020年の渋谷らくご創作大賞受賞者で、古典も創作もすべて「昇々」という不気味な存在。さてこんななか、ヴィンテージの古典の語り部でる扇里師匠の存在感が光るか!? こうご期待。

▽古今亭駒治 ここんてい こまじ
24歳で入門。芸歴18年目、東京都渋谷区出身。鉄道をこよなく愛する。楽屋でたびたび丸ノ内線の方南町方面のことを話題にする。今は車に夢中。先日「散歩の達人」のYoutubeチャンネルにゲスト出演した。先日ティッシュケースを自作した。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2021年5月真打昇進。「2020年渋谷らくご創作大賞」受賞。日々ずっとふざけている。先日、ライン公式アカウントを開設した。最近物販が楽しいということに気づいた。

▽入船亭扇里 いりふねてい せんり
19歳で入門、芸歴25年目、2010年真打ち昇進。食べられない時期は競馬で稼いでいた。熱狂的なベイスターズファン。観戦しているときはツイッターで荒ぶっている。けだるい朝は、カップそば「鴨だしそば」を食べる。

▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
2006年24歳で瀧川鯉昇師匠に入門、2020年5月真打昇進。鯉八さんの似顔絵のLINEスタンプが発売中。海外ドラマ「ブレイキング・バッド」が大好き。アキ・カウリスマキが好き。「真夜中の虹」が好き。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@toyono2010 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。落語、漫画、読書、映画が大好き!)

古今亭駒治(ここんてい こまじ)-レモンの涙
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)-誰にでも青春1&2
入船亭扇里(いりふねてい せんり)-提灯屋
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)-多数決/なぞる

緊急事態宣言が延長になってしまいました。
おまけに今日は、台風接近でお天気も悪い。。
そんな日のステイホーム、楽しみはオンライン落語!
今日は全員若手真打、しかも創作落語派が多め!楽しみです。
どんなお噺が飛び出すでしょうか?

古今亭駒治師匠「レモンの涙」

  • 古今亭駒治師匠

先日YouTubeで、駒治師匠が自身の創作落語「都電物語」の舞台を歩く、という配信を観ました。都内にもまだまだ行ったことのない場所が沢山あるのですね。私も歩いてみたくなりました。最近流行りのマイクロツーリズムにピッタリです。落語を通して新しいことを知るのは楽しいですよね!
さて、今日のお噺は、駒治師匠お得意の鉄道でも野球でもなくプロレス!
マサヒコくんの優しいお父さん、その正体は凶悪な悪役プロレスラー・ダーティーマスク!家族には秘密なのに、ある日マサヒコくんが観戦に来て、バレてしまいそうになってしまいます。家族の運命はいかに!
寺田心くん主演の映画「パパはわるものチャンピオン」の様なお噺ですが、結末がもっと熱い!特にお母さんの正体にも注目です!
バラエティー豊かな引き出しを持つ、駒治師匠の創造力&想像力に驚きでした。

春風亭昇々師匠「誰にでも青春1&2」

  • 春風亭昇々師匠

2021年に真打昇進された、しょうしょうししょう(←早口言葉みたい)。初めて観た狂気の「初天神」は忘れられません(一体何の創作落語かと思ってしまったほど)!
真打になられてますます狂気、いえ、芸に磨きがかかったことでしょう。
今日は青春のお噺。主人公タローくんと彼が好きなナナコちゃん、イケメンの白鳥くんなどが登場する学園モノ。三角関係あり、学園の危機あり、突然始まる男同士の勝負(←腕相撲、指相撲、将棋?)あり、ドラゴンの出現あり?不可解なパートが時々挿入されますが、最後は何とかハッピーエンド。 やれやれ、なんてオリジナルな。。やっぱり、期待を裏切らない、突き抜けた感じの昇々師匠!
急に叫び出すので、オンライン視聴だと音声のボリューム調整が難しかったです。昇々師匠、ダイナミックレンジ広すぎー。

入船亭扇里師匠「提灯屋」

  • 入船亭扇里師匠

今日唯一の古典落語派、扇里師匠。古典の中でもちょっと珍しいお噺、提灯屋。私は今日初めて聴きました!
チンドン屋さんに手渡された広告チラシ、でも受け取った男は字が読めない!この字はなあに?天ぷら?ウナギ?何か美味しい食べ物屋さんが開店したのかと興奮しますが、果たして何の広告でしょう?
字が読めない結果おかしなことになってしまう、「目薬」や「平林」みたいなお噺かと思いきや、上手いこと悪知恵を働かせて無料の商品をせしめてしまいます。今で言う「条件を満たすと、クーポンで無料」みたいな感じでしょうか?最後はちょっと気の毒な結末に。。
扇里師匠のズル賢い表情が最高でした!

瀧川鯉八師匠「多数決&なぞる」

  • 瀧川鯉八師匠

オリンピックの感動が、まだ薄れないという鯉ハ師匠。メキシコの女子ソフトボール選手が選手村のシーツを盗んで帰ったニュースが一番印象的だったとのことですが、そんな事件ありましたっけ?
というわけで、テレビ大好きな鯉ハ師匠は、コロナ禍の前からもずっとステイホーム。ワイドショーも大好きです。論点が段々ズレてくるのを楽しむのもワイドショーの醍醐味。いっそ論点を多数決で決めたら?と思ってしまうそう。。
というわけで、今日は多数決のお噺。
夏休み中に誰がウサギの飼育を行うか?について生徒間でバトルが勃発。多数決で決めようとするけれど、皆あーいえばこう言うで決まらない。さて、驚きの結末はいかに?
必ずしもベストな方法ではないけど、広く採用されている多数決。理由は、他に良い方法がないから?でしょうか。めちゃくちゃになりそうなストーリーが最後にはちゃんと回収されていました。
そして今日はオマケで、短いお噺がもう一席。「無垢な少年」と夢を追うおじさんのちょっと不思議な物語「なぞる」。登場人物もほぼ二人、同じ場所で交わされる会話中心のお噺は、舞台演劇を観ているみたい!
やっぱり鯉ハ師匠、独特で面白ーい。観る側の想像力を利用した映画監督&舞台監督という感じでしょうか?これからもパワーアップして色々なお噺を聴かせて下さると良いですね!