渋谷らくごプレビュー&レビュー
2015年 6月12日(金)~16日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
POISON GIRL BANDの漫才は「落語的」です。
時には八と熊が話しているような、時には宇宙人と地球人が話しているような会話です。それは単なる「ボケ」と「ツッコミ」という、「わざとやっている役割分担」のようなではありません。説得力があるのです。そして、3分とか4分しかないネタがほとんどの時代、60分の漫才を定期的に作っている稀有なコンビでもあります。それはつまり、このふたりの漫才が、ずっと聴いていられるに足る「音楽」でもあることを物語っていると思います。短いネタを繋ぎ合わせて60分にしているわけではありません、60分やる前提で構成された漫才なのです。そして、このふたりはこの日のために30分一本勝負のネタを用意してくれています。こんな機会はありません。落語のなかの会話が生まれたときって、こうだったのかも、と想像してしまうほど「落語的」なのです。
そして、そんな漫才のあとには、創作らくごの担い手、さらには芸人界広しといえども、これほどまでに楽しいキャラクター、癒しの語り口、そして突飛な発想、展開力を兼ね備えた、愛嬌の塊でもある百栄師匠が登場です。落語って、生まれたときはこうだったんだろうなぁ、と想像してしまうほど「落語的」なのです。古典は生まれたときから古典なのかも。百栄師匠の落語を聴くとそう思います。そう思えないときもあります。とにかくなにかを思います。こんな取り合わせ、ほかにないぞ! 会社休んででもみたい「ふたりらくご」、贅沢な一時間です。
レビュー
文:リリィ Twitter:@lilium_boy 22歳、男子大学生
【POISON GIRL BAND-漫才】
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POISON GIRL BAND
テレビやネット動画では何度も繰り返し観ていましたが、今回、初めて生で漫才を観ることができました。
本格的に落語を聴くようになってから4ヶ月ほど経ちましたが、改めてお二人の漫才を観ると、驚くほど落語らしさを感じます。
まるで、常になにかを間違えてばかりの八つぁんと、それを優しく訂正する隠居さんの会話のよう。
阿部さんが自分の考えを話す。吉田さんが戸惑いつつもあくまで真面目に応える。日常の雰囲気を壊すことのない自然なやりとりを眺めているだけで心地が良くて、いつの間にかその世界に引き込まれて、気づけば腹が痛くなるほど笑ってしまいます。
中学生の頃からPOISON GIRL BANDが大好きだった僕が、落語を好きになったということには、きっと必然性があったんだなー。POISON GIRL BANDの漫才がお好きなみなさん、落語もきっと、面白いと思いますよ!
【春風亭百栄-今時の作文/弟子の強飯】
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春風亭百栄
百栄師匠の落語を聴いたのは、今回が初めてでした。新作落語を中心に活躍してらっしゃる師匠ということで、正直に言うと、始まる瞬間まで「ちゃんと楽しめるだろうか…」なんて、身構えてました。というのも、これまでの経験から、あまり新作落語にはいいイメージを持っていなかったんです。新作落語といえば、ぶっ飛んだ世界観、突飛な話の展開、大げさな演技…古典落語と比べると聴いてて疲れるし、どれだけ笑えるかでいったら漫才やコントのほうがはるかに笑える。
失礼を承知で言わせていただくと、これが、僕が新作落語に対して抱いていた印象です。そんな固定観念のなか聴いたのに、それなのに!百栄師匠の新作落語、めちゃくちゃ面白かったです。観る前に身構えちゃったりして、百栄師匠、ほんとにすみませんでした!ろくに数も聴いていないうちに面白くないなんて思い込んでいた自分が恥ずかしい。新作落語を聴いていて、こんなに心地よくなれるなんて思わなかったです。
新作落語って、もしかして面白いのかも…いやいや、百栄師匠が例外的に面白いだけなんじゃないか…と、今では半信半疑状態の新作落語、これからは積極的に聴いてみたいと思います。
5代目小さん師匠や10代目馬生師匠の落語を聴いた時に特に感じる古典落語の面白さ…普通の人間をそのまま普通に演じているだけなのに、なぜかめちゃくちゃ面白いという不思議さ…今回は漫才と新作落語で体験することができました。ふたりらくご、最高の1時間でした。