渋谷らくごプレビュー&レビュー
2015年 8月21日(金)~25日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
渋谷らくごに、落語界の異端児・桃太郎師匠がついに降臨!これは事件です! 事故かもしれません。
実は先月桃太郎師匠が渋谷らくごの登場すると公表されてからtwitterではちょっとした動揺がわき起こっています。ざわめきたっています。どうして落語好きの方々が昔昔亭桃太郎が渋谷らくごに登場することで騒いでいるのか、ぜひ落語初心者の方、生の桃太郎師匠を見て感じ取ってください。桃太郎師匠の評価の言葉は、桃太郎師匠の前ではすべて無意味になります。師匠は落語よりも存在が強いのかもしれません。前提知識はいりません。「変な人」です。
トップバッターのA太郎さんは、そんな桃太郎師匠のお弟子さんです。A太郎さんは桃太郎師匠の狂気を確実に踏襲しています。先月の渋谷らくご、その狂気に客席がどうしていいのかわからないけれども、ただただ笑いが続くといういままで見たことがないような状況になりました。今月はなにを見せてくださるのでしょうか。
玉川奈々福さんの浪曲には「かっこいい!」という感想が山のように寄せられています。本当にカッコいい! 浪曲を何も知らなくても、浪曲初体験でも、なにも怖がらず粋な姉さんについていってみてください、幸せな、忘れられない体験ができるでしょう。
志ら乃師匠は、先月の落語、今月になってもまだまだtwitterで「あの落語は忘れられない」という感想が続いています。初心者の方も取っ掛かりやすいテーマを落語に入れ込む。しかしそれが単調な落語になってしまうのではなく奥深く、そしてトリックが冴え渡る落語に生まれ変わっています。今月もそんな志ら乃解釈の落語、とても楽しみです。
こればっかりは、見てもらわないと! 落語の敷居は高くありません。もはやこの回に関して言えば、敷居ゼロ。座布団の上に座るヤバい人たちを見に来てください。その時間とお金は必ず無駄ではなかったと、記憶に爪痕を遺すような最高の回になるでしょう。
レビュー
文:bk_megumi Twitter:@bk_megumi 性別:女性 年代:20代後半 ご職業:会社員 落語歴:9か月 ご趣味:お酒とアニメと南米の現代音楽
自己紹介コメント:落語の余韻をつまみに飲むお酒が何よりの幸せ
昔昔亭A太郎(せきせきてい えーたろう)「酢豆腐」
立川志ら乃(たてかわ しらの)「巌流島」
玉川奈々福(たまがわ ななふく)/沢村豊子(さわむら とよこ) 「陸奥間違い」
昔昔亭桃太郎(せきせきてい ももたろう)「カラオケ病院」
「桃太郎師匠の幻影 VS 3人の演者、勝敗やいかに!?」
【昔昔亭A太郎(せきせきてい えーたろう)「酢豆腐」】
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昔昔亭A太郎さん
座布団の傍ら、おもむろに置かれた「湯呑」に会場がざわざわする。そう、これは本日トリのはずの、昔昔亭桃太郎さんの看板ネタ「せこい茶椀だね~」の前フリなのです。今日のシブラクは昔昔亭親子会、これは何かあるぞという期待感が高まる客席で、一人ぽかんとしていたのは私です。実は、A太郎さんを見るのも、桃太郎さんを見るのも今日が初めてだったので、「湯呑」の「仕掛け」に反応できなかったのです。後で志ら乃さんが解説してくれましたが、どうやらこの「仕掛け」は師匠のネタ封じのようです。渾身のネタ封じ、効果はいかに・・・?
「湯呑」よりも私が気になっていたのは、メガネでした。先月のシブラクでA太郎さんを見た友人から「メガネを投げたよー」と聴いていたので、A太郎さん=メガネを投げる人、と思っており、密かに楽しみにしていたのでした。しかし、舞台に出てきたA太郎さん、メガネをかけてない!?これじゃあ投げられないじゃないかと焦っていると、高座に座った瞬間、メガネを取り出し、かけました。よしきたー!!そのままお辞儀して、メガネを投げ・・・って、あれ?投げない?そのまま普通に外して置いてしまいました。あれ?メガネかけたの一瞬?ていうかなんでメガネかけたの?いろんな疑問はありましたが、これも、A太郎さんの「仕掛け」なのかな。出囃子が鳴り舞台に登場してから高座に座ってお辞儀するという一通りの動作だけでも、ここまで印象に残る落語家さんは、今まで見たことがないです。桃太郎さんの「湯呑み」芸に対する、A太郎さんの「メガネ」芸、次回はどう来るのか楽しみです。
さて、お師匠さんがいる回だとお弟子さんはなんだか調子が狂うみたいです。今日はテンションが上がらないなあとぼやきながら、始まった古典「酢豆腐」ですが、始まると様子が一転、江戸っ子口調の小気味いい会話劇、若い衆が集まってわちゃわちゃしてる様子は、隠れ男前のA太郎さんが演じると、いっそう華やかで楽しそうです。
「酢豆腐」は、私が小学生の時に人生で初めて聴いた落語です。当時は多感な時期だったというのもあって、私はどうしてもこの噺が好きになれませんでした。「気に食わないやつにまずいものを食べさせるなんて、いじめじゃん!」と憤慨していました。それ以来、約20年ぶりに聴いた「酢豆腐」ですが、まずいものをたべさせて反応を楽しむ、というちょっとブラックな楽しみ方が私にも少しだけわかるようになっていて、成長したんだなあと実感しました。落語はやっぱりオトナの芸能なのかなあ?
ちなみに、この時点で桃太郎さんはまだ来ていません。まだ来ていないのにお弟子さんがこんなにおろおろするなんて、どんなお師匠さんなのやら!
【立川志ら乃(たてかわしらの)「巌流島」】
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立川志ら乃師匠
オトナの芸能である落語を、なんと270人もの幼稚園児の前で披露しなければならなくなったときの失敗談が、志ら乃さんのまくらでした。とんだ罰ゲームですよね。百戦錬磨の志ら乃さんを負かしちゃうなんて、園児たちもすごいな。ところで、冒頭のA太郎さんの「湯呑」の意味を解説してくれたのですが、A太郎さんの後をうけて、志ら乃さんまでちょっと調子が狂わされていたようです。たまりかねて、楽屋のA太郎さんに向かってマイク越しに「飲みにいこうな!」と誘っていました。どんな飲み会になったのかしら。っていうか、改めて桃太郎師匠何者なの!?
さて、志ら乃さんの「巌流島」。勢いのある話ぶりや、登場人物のキャラクター分けもコミカルで面白く、聴きやすい。品のない若侍が自慢げに見せつける「比翼紋」は、恋仲の二人がお互いの家紋を組み合わせて作るという粋なものだそうですが、観客に「比翼紋」の説明をするうちに、いつのまにか「キスプリ」でキャッキャする女子高生のショートコントになったり、自由に脱線しても違和感なくまとめてくるところが腕だなあと思いました。
なお、この時点で桃太郎さんはまだ来ていません。
【玉川奈々福(たまがわ ななふく)「陸奥間違い」】
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玉川奈々福さん・沢村豊子師匠
まだ会場にいないにもかからわらず、演者に大ダメージを与える、遠距離操作型スタンド使いの桃太郎師匠のせいで「ちらかり放題」だった空気をキリっと整えたのは奈々福さん。もうこの人には、「惚れた!!」としか言いようがないです。台詞のキレ、張りのある声、自由自在の節回しに、みるみるうちに引き込まれていきます。この高揚感は、例えるなら、大河ドラマやアニメのオープニングみたいなかんじ、これでもかというほどハイテンションでドラマチック。胸が熱くなる。たまらない!浪曲を聴いたのは初めてでしたが、こんな出会いがあるなんてシブラクには本当に感謝です。
ところで、日常を浪曲仕立てにしたらすごくいいなあ、なんて思いました。毎朝の通勤ラッシュや、上司とうまくいかないような憂鬱な日常でも、ドラマチックに書き換えて奈々福さんの声で浪曲にしてもらったら、仕事もがんばれるんじゃないかなあなんてね。
なお、この時点で桃太郎さんはまだ来ていません。
【昔昔亭桃太郎(せきせきてい ももたろう)「カラオケ病院」】
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昔昔亭桃太郎師匠
桃太郎師匠の幻影と戦う演者3人の姿を見て、だいぶ期待と不安が高まるなか、出囃子が始まりいざ桃太郎師匠のお出まし・・・かと思ったら、現れない・・・会場がどよめき始めたころ、2回目の出囃子・・・皆が心配そうに見つめるなか、やっとご本人の登場です。よかったー!
まくらは桃太郎さんが軽井沢でアルバイトされていた頃の一夏の思い出のお話。甘酸っぱい話になるのかと思いきや、進むにつれて結構エゲツナイ話が出てたり、ここでは書けないような、やんちゃな思い出話がどんどん出てきます。例の「湯呑」をすすりながら・・・あ、出た「湯呑」!しかし、「せこい茶碗だね~」のくだりはありませんでした。なんと!A太郎さんのネタ封じが効いたのでしょうか!?
桃太郎さんの「カラオケ病院」は、出てくる登場人物も、まったりのんびりマイペース。でも内容はシュールです。患者の減った病院が集客をねらって待合室でカラオケ大会をするというもの。病人が自分の病気を替え歌にして歌うのですが、替え歌の歌詞が面白いのと、うまいのか下手なのかわからない桃太郎さんの歌い方とで、危機感のなさというか、独特の気の抜けた感じに、じわじわくる面白さがありました。
奈々福さんの浪曲と桃太郎さんのカラオケ病院のおかげで、後半はまさに笑いあり歌あり、ボリュームたっぷりのシブラクでした。最後に、桃太郎さんとA太郎さん、高座の座り方と、立ち方がとても似ているなあと思いました。そのへんはやっぱり親子だもの、ね。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」8/22 公演 感想まとめ