渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2016年 5月13日(金)~17日(火)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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5月16日(月)18:00~19:00 立川志ら乃、入船亭扇里

「ふたりらくご」同世代若手真打競演 扇里 meets 志ら乃!

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プレビュー

 毎週配信している、渋谷らくごのポッドキャストでは、定番シリーズとして、扇里師匠のご好意で落語を配信しております。1日2万件を超えるアクセスがあり、そして何度もリピートしてしまう中毒ともいうべきヘビーリスナーを生み出しています。このようなこともあり、渋谷らくごでは、「語り部・扇里師匠」といえば、もうお馴染みとなってきました。喜怒哀楽を顔や仕草でストレートに描くのではなく、訥々と平坦な言葉で語る。感情や解釈を押し付ける事なく、平坦な言葉で訥々と語るからこそ、これが聴きやすく、登場人物の感情がストレートに伝わってくるのです。これがおそらく、もともとの落語の演技であろう姿です。そして、このようなわかりやすさもあるんだと扇里師匠の落語を聴くたびに発見があります。扇里師匠の語り口で、時間と空間がトリップ!
 今回は志ら乃師匠とタッグを組みます。志ら乃師匠は、渋谷らくごのマルチプレーヤー。どのポジションでも必ずお客さんを満足させて帰らせる「おもてなしノイローゼ」ともいうべき方。作家 春日太一さんをして「拷問顔」と言われたほどに、苦しみ、なにかを強く訴える師匠の表情は、聴く人の脳裡に焼き付きます。志ら乃落語の特徴は「うまい・はやい・おもしろい」! とにかく落語のハードルをさげてくださる。とにかくわかりやすい。またアニメ・アイドル・相撲といったジャンルに造詣が深いから、他のジャンルの人に響くような言葉をしっかりと持っている方です。落語を全く知らなくて、志ら乃師匠が変換してくださるから、必ず置いてきぼりにされない安心の落語になります。
 この二人の化学反応、どうなるものか楽しみです。

レビュー

文:本村槙一郎 Twitter:@kokakokakolakok 役者 趣味:深夜ラジオ、ロックンロール

5月16日(月)18:00
立川志ら乃(たてかわ しらの) 「替り目」
入船亭扇里(いりふねてい せんり) 「提灯屋」

ストレス社会と戦う落語

最近、舛添知事の政治と金の問題や東京オリンピックの裏金疑惑、パナマ文書問題などで大きなお金が不正に動いているニュースを良く見ながら生活している。
自分といったら手売りで出演する舞台のチケットを売ったり、時給数百円でアルバイトの毎日。地道な生活でストレスが多い。同じ年のジャスティンビーバーは年収94億だとか。はぁ、上を見れば果てしない。はぁ、ため息ばっかりだ。でも、パナマ文書に載ってた隠すぐらいお金のある人間には落語の面白さなんてわかんないだろうし(そもそも外国人の大多数は落語を知らないけど)とよく分からない優越感に浸りながら僕はあることに気づいた。
庶民には庶民のパラダイスがあるんだ!そして僕には落語がある!!!積み重なるストレスを解消するべく足早にユーロスペースへ向かった。

志ら乃師匠

  • 立川志ら乃師匠

    立川志ら乃師匠

開口一番に「私、クーポンが好きなんですよ」はい、キターーーーー!!庶民の味方!!ありがとうございます。僕のために用意してくださったかのようなまくらでした。
25%引きのクーポン券を持って後輩とファミレスいった話。めちゃめちゃ笑いました。お金が湯水のようにあればいいんでしょうけどそこに笑いは生まれないわけですからね。間違いなく庶民の勝利です。ありがとうございます。
渋谷らくごポットキャストで配信されることほぼ間違いないと思いながら聞いておりました。
さて本編の替り目という古典落語は酔っ払いの話しでした。ただでさえ表情が独特な志ら乃師匠なんですがずっと酔っ払いを演じていたのでより表情を堪能できました。庶民による庶民のための落語ありがとうございました。

扇里師匠

  • 入船亭扇里師匠

    入船亭扇里師匠

この方の落語は抑揚や強調が他の落語家さんよりも少なくて淡々と喋る感じでした。例えるなら、下北沢の小演劇という感じで見てるお客様に笑いどころやストーリーを強要しないスタイル。
不思議と普段より景色や心情に敏感になりいつもより想像を膨らませて見ていました。
どのジャンルもそうですがステージに立つ人にとって大げさに立ち回ったり声を大きく出すことは派手でお客さんの目も簡単にひくことができます。
でも、お客さんはそんなに単純じゃなくてちょっとした目の動きとか息づかいまでにも想像を膨らませることができてしまうので扇里師匠のようにあえて淡々と、かつ繊細に物語を進めることは笑いに直結しているんだと感心させられました。
それは扇里師匠の確固たる技術とお客さんへの信頼があってこそだと思いました。
落語初心者も楽しめますよと一番に掲げているこの渋谷らくごで、本当の落語の楽しみ方を味わえてとても満足しました。
まだ少し落語の余韻に浸っていたいです。

【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」5/16 公演 感想まとめ

写真:山下ヒデヨ Twitter:@komikifoto