渋谷らくごプレビュー&レビュー
2016年 5月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
人生を、落語に賭けた男たち。
古典と正面から向き合い、師匠・扇辰の姿を追いながらも自分らしさを追求する二つ目、小辰さん。
職人的仕事のなかに、プライドと謙虚さと照れがオシャレにブレンドされた左談次師匠。
一言目から自分の間合いにしてしまい、瞬きすらも惜しくなるほど濃密な空間をつくる文菊師匠。
大人の遊び心と細い身体で、楽しく人生を謳歌する方法を表現するダンディーな喜多八師匠。
それぞれが、特殊進化を追求し、オンリーワンな存在。
大器早成の小辰、粋の左談次、華の文菊、落語国 国家元首 喜多八殿下。
週明けに、最高の夜をお約束します。
レビュー
文:えり Twitter:@eritasu 29歳 女性 趣味:フラメンコを踊ること
5月16日(月)20時~22時「渋谷らくご」
入船亭 小辰 (いりふねてい こたつ) 「野ざらし」
立川 左談次 (たてかわ さだんじ) 「短命」
古今亭 文菊 (ここんてい ぶんぎく) 「転宅」
瀧川 鯉昇 (たきがわ りしょう) 「武助馬」
心の筋肉をほぐす旅
トリの喜多八師匠目当てだった私。
数日前からの休演や独演会中止の情報を見て、シブラクはどなたが代演なのだろう?と思っていました。
そのうちTwitterで「代演は鯉昇師匠」という情報が流れ、あぁそれなら同じくらい楽しみ!と思ったのは私だけではないはず。普段なら仕事後はさっさと帰って寝てしまいたい月曜日。ですが、帰りが夜遅くなろうと、渋谷の坂でこむら返りを起こそうと構わない。シブラクに行きたい。
行ってしまいさえすれば、心の筋肉がゆるゆるとほぐれていくのを知っているから。
渋谷らくごにはそんな魅力があります。
【入船亭 小辰さん】
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入船亭小辰さん
「名前だけでも覚えて帰ってください」と寄席でよく聞くセリフから「コ・タ・ツ」「コ・タ・ツ」と、自ら小辰コール。毎回おなじみなのか、ご贔屓さんと思われるお姉さんの小辰コールも聞こえてきます。
今日のお客さんはいつもより少し年齢層高めな感じがして、会場はゆったり和やかムード。
小辰さんはまくらで寄席の三味線や太鼓、そして釣りの話をされてました。
釣りかぁ「野ざらし」だったらいいなぁ~と思ったら本当に「野ざらし」!見どころたっぷりで好きな噺なので嬉しい。
八五郎がよく通る高めの声で朗らかに歌いあげる場面のなんと心地良いこと。
ウワーッと嬉しくなり、心の中で(よっ!はっつぁん!名調子っ!)
太鼓持ちの歌い方も八五郎のときと違っていて、これまたスカッと気持ちいい。
まくらでさりげなく話していた「太鼓は馬の革でできている」という内容がサゲの補足説明として後々効いてきます。
おかげでわかりやすく、最後まですんなり腑に落ちたのも嬉しかったです。
【立川 左談次師匠】
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立川左談次師匠
「今日は本を読んだ後に古典落語やります。30歳くらいの時に寄席でよくやっていたのであります。」と左談次師匠。
「〜であります」という口調、とてもキュンとします。
高座に3冊の本を持ってきていて、そこから選りすぐりの一節を読み上げるのですが、これが強烈な本ばかり!
どれも30年程前に出版されたもので、お店のグルメガイドのようでいて信じられないくらい辛口評価の本や、あまりにも雑なアドバイスの健康推進本や育児本。ツッコミを入れながら読んでくれて、小噺を聴いているような感覚です。
左談次師匠が寝る前に読んでニヤニヤしてるところもイメージできて、またキュン。
そして「短命」へ。色っぽい内容の噺ですが、こってりギトギトしすぎずさっぱりな味付け。
左談次師匠の、渋くかっこいいのにどこかお茶目な雰囲気のおかげで、下ネタ苦手な方でもニッコニコで聴けること間違いなしです。
【古今亭 文菊師匠】
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古今亭文菊師匠
「転宅」の終盤に差し掛かったところで突如、ユーロスペースのイスがグラグラ揺れだしました。ソワソワする会場。
そのうち≪地震です!地震です!≫というアラーム音が至るところから一斉に鳴り響き、不穏な空気に。
そんな中、文菊師匠は「落ち着きましょうね…」と堂々としていて、余裕すら感じます。
まるで、泥棒の脅しに対して堂々として怯まない「転宅」のお菊さんそのまんま!
揺れが治まって「続きをやるかやらないか、拍手の大きさで決めましょうか」の言葉に会場は割れんばかりの拍手で応え、一体となって盛り上がります。
まぬけっぷりが際立ってなんだかかわいく見えてくる泥棒。
対して、芯の強さや自信から滲み出るような大人の色気たっぷりのお菊さん。
そして、芯の強さや自信から滲み出るような大人の色気たっぷりの文菊師匠。
吊り橋効果ってこういうことか!と納得しました。
【瀧川 鯉昇師匠】
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瀧川鯉昇師匠
落語協会の喜多八師匠の代演が、落語芸術協会の鯉昇師匠。
寄席ではありえないような、協会の垣根を越えた代演もシブラクっぽくて素敵。
猫背のせいか両肩は上げ気味、重ねた両手を膝の上にそっと乗せ、品の良い佇まいの鯉昇師匠。
本日の演者さん4人とも端正な良いお声ですが、特に鯉昇師匠の流れるようにさらりとした口調と落ち着いた優しいお声には本当にうっとりします。
レビューを書くためこっそりメモをとっているのですが、いつのまにかメモの字体が行書体になっていました。
鯉昇師匠がそこにいてニコニコしている。それだけでなんだか嬉しい。
シブラクに出演されているお弟子さんの鯉斗さんや鯉八さんもTwitterで今日の回の宣伝をしていたり、師匠の愛され超人エピソードを嬉しそうに話していたりと、師匠がだーいすきって感じがしてほっこりします。
それにしても「武助馬」でこんなにケラケラ大笑いしたのは初めてでした。まるでドリフのコント!って感じの展開があったり、芝居の場面が頭の中でしっかり映像化して再生されました。
ああ、今この瞬間は映画より本よりマンガより、この「武助馬」が最高におもしろい!
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」5/16 公演 感想まとめ
写真:山下ヒデヨ Twitter:@komikifoto