渋谷らくごプレビュー&レビュー
2016年 6月10日(金)~14日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
爽やかな演者が揃いました! 渋谷らくご初登場の市童さん。19歳で弟子入り、現在芸歴6年目24歳(もうすぐ25歳)。ただこの芸歴なのにも関わらず、清々しいくらいまっすぐな気持ちで落語と向き合っている方です。みなさんの期待を裏切らない「落語」のイメージを踏襲しながら、わかりやすく、個性もにじみ出る落語。気持ちいいです。
柳朝師匠は、個人的なことを申しますと、学生のとき、まだ二つ目だった師匠をおいかけておりました。その時から、この師匠の高座は、ずっとスマートです。スピーティーなのに丁寧、実に高座姿の綺麗な師匠です。なんといいますか、黙々と的確にツボを押し続けるマッサージ名人みたいな。
3番手は「シブラクの唸るおねえさん」こと、奈々福さんです。浪曲というジャンルの方なのですが、「浪曲」というフレーズを一度も聴いていなくても大丈夫。とにかく素敵な浪曲の世界に誘ってくださいます。聞き応え充分、後味爽快。拍手したいときに拍手してみてくださいね!
最後に登場するのが、馬石師匠。先月は、『昭和元禄落語心中』という漫画とアニメのイベントで、落語を聴いた事がない方の前で落語をして、全員を魅了してくださいました。だれも仲間はずれがいない落語。「こうありたい」と素直に思える世界観。爽快!
▽柳亭市童 りゅうてい いちどう
19歳で入門、芸歴6年目、2015年5月二つ目昇進。北海道出身。昇進して1年、もうすぐ誕生日。
▽春風亭柳朝 しゅんぷうてい りゅうちょう
23歳で入門、芸歴22年目、2007年真打ち昇進。趣味は銭湯巡り。
▽玉川奈々福 たまがわ ななふく
1995年曲師(三味線)として入門。浪曲師としては2001年より活動。2012年日本浪曲協会理事に就任。「シブラクの唸るおねえさん」。
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴23年目、2007年3月真打昇進。趣味はマラソン。毎日5キロ走っている。
レビュー
文:瀧美保 (Twitter:@Takky_step 事務職 趣味:演劇・美術鑑賞、秩父に行くこと )
▼6月12日 17:00~19:00
「渋谷らくご」
柳亭市童(りゅうてい いちどう)-大工調べ
春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)-不動坊
玉川奈々福(たまがわ ななふく)/沢村豊子(さわむら とよこ)-豊子と奈々福の浪花節更紗
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)-中村仲蔵
柳亭市童-大工調べ
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柳亭市童さん
渋谷らくご初登場の市童さん。
ご本人もおっしゃってましたが、20代前半とは思えない落ち着きがありますね。
この噺の大家は意地悪な人……というイメージがありましたけれど、市童さんの大家は
いい意味で普通の人(笑)。
どちらかと言えば、棟梁が軽率というか、そんな言い方すればそりゃあ大家も怒るよね、
と思ってしまいました。
同じ言い回しでも、思わず口が滑った……という描き方もできるでしょうが、この棟梁は
まるで相手の気持ちを考えずに、思いつくまま言いたいようにしゃべってしまう。
結果、大家がムキになって怒ってしまうという流れがわかり易く、そうやって見てみると、
これまでになく大家の方に同情したくなってしまいました。
またそんな大家と棟梁に対して、与太郎のゆっくりとしたリズムがいいですね。
しゃべり自体は割と普通の速度だけれど、考えるリズムがみんなよりちょっと遅い、
という少しずれたリズムがおかしい。
とぼけた味が面白い与太郎さんです。
棟梁の速い言い立てとのギャップが楽しいですね。
市童さんのすんなり入ってくる声で、今度はもっとゆったりした噺や他の与太郎の噺を
聴いてみたいです。グをぶっ込んでいく。こんな難しい芸当ができる落語家さんはそういませんよ。
春風亭柳朝-不動坊
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春風亭柳朝師匠
男の嫉妬のマクラが面白い。
男の嫉妬はこんなにも激しいものかと思わせておきながら、エンマとのやりとりの
お手軽な感じが好きです(笑)。
軽快で明るい語り口は一朝師匠ゆずりでしょうか。
とても聴き易く、そのテンポに乗っていると楽しくなってきます。
不動坊が旅先で亡くなり、未亡人となったおたきさんが吉兵衛さんに嫁ぐと聞いて、
長屋のメンツが騒ぎ出す。
憧れのおたきさんがなんで奴のところに、と嫉妬から幽霊騒ぎを起こそうと計画する。
それぞれのキャラクターが面白いですね。
吉兵衛さんは鉄瓶を湯屋に持っていってしまう慌て者の面はあるものの、お金を貯め込んで
いるだけあってしっかり感もあるし、幽霊役の噺家はちゃんと的確な指示を出すかと思いきや、
お金以外は結構テキトウに流すし、チンドン屋さんの素直な反応もいい。
愛すべき長屋の人たちのバランスがとてもいい感じです。
また何より柳朝師匠の仕草がおちゃめでかわいらしいですね。
銭湯でお湯につかって首を傾げている姿なんかも、セリフと合わせて愛嬌満点。
コロコロと変わる表情が楽しいです。
柳朝師匠のサービス精神でしょうか、あらゆる所に散りばめられた表情や仕草の可笑しみが、
テンポの良さと合わせて、最初から最後まで爽快でした。
玉川奈々福/沢村豊子-豊子と奈々福の浪花節更紗
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玉川奈々福さん・沢村豊子師匠
お仕事で行った徳島県上勝町は、高齢者がみんな元気で面白いという。
そんな高齢者の魅力に取りつかれ移住した人たちがたくさんいる話も興味深かったけれど、
この日お話された奈々福さんと豊子師匠の馴れ初め(?)がとにかく面白かった。
まだ奈々福さんがぺーぺーだった頃に突然降ってきた、朝の勉強会に大先輩がついてくれるという
驚きの出来事、そして実際に豊子師匠に初めて会った時に言われた衝撃の言葉。
豊子師匠との信頼関係と愛情があるからこそ言える、暴露話のオンパレード(笑)。
師匠のお宅に住み込み修行というのはあるけれど、住み込まれ修行のその容赦なさ。
この高座でネタおろし、豊子師匠と初めてあわせているとは思えない、その息の合った見事さ。
笑いっぱなし、拍手しっぱなしでした。
また豊子師匠も途中、言いたいことがあると口を開かれ、もしや小言かと思いきや
「全部事実です」と恥ずかしそうにおっしゃる、顔を隠した姿の可愛らしいこと。
大きな羽毛布団に包まれた豊子師匠の姿が頭から離れません(笑)。
出来事をたんたんと、かつその浪花節に乗せながらダイナミックに描写できる浪曲は、
日常を面白く伝えるのにとても合うのかもしれないと思いました。
豊子師匠とのエピソードはまだまだまだまだありそうなので、ぜひとも第二弾、第三弾と
シリーズのようにやって欲しいです(笑)。
きっと少し前の時代の女性は、今よりもずっと強かった。
しなやかで力強い魅力的な女性たちの高座、楽しい時間をありがとうございます。
隅田川馬石-中村仲蔵
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隅田川馬石師匠
なにげなく話し始めた馬石師匠。
声を潜めてはいないのでしょうが、さっきまでの奈々福さんのうなりの後で、
少し静かに感じて、耳を澄ますように聴き始めました。
噺の中に出てくる芝居の用語や、血筋がよくないと出世に苦労する事など、
馬石師匠の落ち着いた声で説明を聴きながら、徐々に会場が集中していくのを感じました。
人気の芝居、仮名手本忠臣蔵の中で弁当幕(芝居を観るより弁当を食べる幕)と呼ばれる位、
お客に見所の少ないと思われていた五段目において、中村仲蔵が定九郎を演じる事で
出世する話です。
仲蔵がふられた定九郎役はこれまで山賊姿で演じられていて、これでは誰も見てくれない。
役不足を嘆き上方に行こうかと愚痴る仲蔵に、女房・おきちが「敢えてこの役をお前さんに
お願いしているんだよ」と優しく諭します。
柳島の妙見様にお参りした甲斐あってか、店でのその出会い。
浪人体のお侍が入ってくるところ、酒を飲む姿、言い様、去る姿。
丁寧に語られる侍のその姿形と仕草から浮かび上がる情景、そしてそれをじっと見つめる仲蔵。
仲蔵の気持ちがぐいぐいとお侍に惹きつけられているのがわかって、聴いているこちらも
ただ息をのんで見つめていました。
舞台に上がった仲蔵と観客の様子がまた面白い。
掛け声はかからないけれど、これまでと全く違う芝居の凄さと驚きにじわる観客。
そして定九郎の死に様の迫力に再びじわる観客。
だが掛け声もなく芝居が終わり、ワルオチしたかとがっくりと肩を落とす仲蔵。
上方へ修行の旅に出ると告げる仲蔵に、それを優しく受け入れるおきち。
仲蔵の芝居へかける熱さと夫婦が相手を想い合う情。
誤解が解けて、芝居が成功していたと知った仲蔵とおきちが見つめあう所に
本当にじんときました。
静かに熱い空気の中にいる、素敵な時間でした。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」6/14 公演 感想まとめ
写真:山下ヒデヨ Twitter:@komikifoto