渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 6月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
6月、梅雨に入ったら、晴れ晴れしたいなと思う人もいれば、しっとり落ち着いて過ごしたいなと思う人も多いはず。
この回は、そういった「落ち着いて落語を聴く」という雰囲気にピッタリの会です!
隅田川馬石師匠は、現在40代後半。毎回、少しでも高い到達点を狙う、もっとも聴きごたえのある年齢が、これからの10年かもしれません。だれを追いかけようかと迷っている方、馬石師匠はじめこの回にでる4名はみなさん追いかけがいがありますよ!
▽柳家緑太 やなぎや ろくた
25歳で入門、芸歴8年目、2014年11月二つ目昇進
会話中絶妙な間で合いの手を入れる。落語家になる前は、朝までバイトして夜まで寝るという生活をしていた。そのバイト先の上司の話に対してリアクションをとっていたことから合いの手が上手い。最近はラップにはまっている。チラシのデザイン感覚がうまく、他の落語家さんの勉強会のチラシもつくっている。
▽立川志ら乃 たてかわ しらの
24歳で入門、芸歴20年目、2012年12月真打昇進。スーパーマーケットが好きすぎるため日々考察をおこない、その様子が朝日新聞で取り上げられたりした。ツイッターでは、「とろ〜りなめらかプリン」についての考察と、アイスを食べる専用のスプーンについての考察している。街中では会釈をしても全く気付かれないほど全力で歩いている。いや、生き急いでいる。親族みな短命。
▽雷門小助六 かみなりもん こすけろく
17歳で入門、芸歴18年目、2013年5月真打ち昇進。楽屋入りは必ずスーツで、早めに楽屋入り。後輩の高座に耳を傾けてそっとアドバイスをしている。そんなこともあり、後輩からものすごく慕われ、また甘えられている。最近、志ら乃師匠と「いちゃいちゃ」しているとの噂。愛猫家にして猫アレルギー。
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴24年目、2007年3月真打昇進。二つ目時代は、落語協会の野球チームのピッチャーでエース。前座時代から紹興酒を好んで召し上がられるらしい。早いペースでグビグビ飲まれるとのこと。体力をつけるために毎日5キロを20分未満で走っている。街中でも高座のように穏やかに歩いていて、会釈をするとにっこり笑って返してくれる。
レビュー
6月10日(日) 17時~19時 「渋谷らくご」
柳家緑太(やなぎや ろくた) 「宮戸川」
立川志ら乃(たてかわ しらの) 「唖の釣り」
雷門小助六(かみなりもん こすけろく) 「愛宕山」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき) 「明烏」
柳家緑太さん「宮戸川」
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柳家緑太さん
前日9日の「ふたりらくご」で、こしら師匠の「ミミ宮戸」を聴いた次の日、緑太さんの古典落語「宮戸川」が聴ける開口一番でした。こしら師匠のお噺はミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」を意識して創作されたのでしょう。夢の仕事と大人になってからの現実との懐かしさと哀しみが漂っていて、遊び心のあるこしら師匠の世界観が「ラ・ラ・ランド」風に。けれど、その記憶が鮮明な次の日、今度は緑太さんが古典落語の名作「宮戸川」をかけて下さったのです。
緑太さんの「宮戸川」は、爽やかで、原作がどれだけ素晴らしい噺なのかを改めて思い知らせてくれました。
ニコニコして天然な緑太さんの初々しいご様子が、将棋の楽しみに流され毎回家から閉め出される、女性に免疫のなさそうな半七の若さや、お花や霊岸島のおじさんに押し切られる性格の未熟さまでが、キラキラ光る川面のようにその年齢だけのキラメキにも見えます。
宮戸川とは、隅田川の下流のこと、今回トリの隅田川馬石師匠のことを意識して選ばれたとしたら、粋な開口一番だと思いました。
立川志ら乃師匠「唖の釣り」
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立川志ら乃師匠
今回の志ら乃師匠の演目「唖の釣り」は、兄弟のように気のおけない七兵衛と与太郎二人が、殺生禁止の神社仏閣の池で釣りを企むお噺です。鯉の売買目当てとはいえ仲良しのお友達で夜中に忍んで悪いことをする楽しさ、禁止されていることを行う楽しさ、釣り糸を垂らせば次々と魚が釣れていく楽しさ、志ら乃師匠のしぐさは本当に釣りに夢中な人で、思わず笑ってしまいます。
見回りの役人に見つかってから、慌てていて口が利けないままのパフォーマンスは最高でした。
雷門小助六師匠「愛宕山」
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雷門小助六師匠
猫好きと致しましては、同じ猫好きの芸人さんには興味があるのです。ですから、小助六師匠の「猫を本当は4匹飼っているけれど、寄席のマクラでは3匹ということにしている」というマクラをシブラクさんのポットキャストでお聴きしてから、小助六師匠の落語を拝聴できる日を楽しみにしておりました。この日は特に猫のマクラでも、猫の演目でもありませんでしたが、「愛宕山」という演目は、陸上競技の「トライアスロン」のようでした。
山を登ったり、傘で「メアリー・ポピンズ」のように空を飛んで下へ降りてみたり、また「テコの原理」を使って下から上へ戻って来るという神業を幇間の一八(いっぱち)はやってのけます。幇間というのはアクション俳優みたいなことも時と場合によってはやらされるのかと、心から同情しつつも、小助六師匠の軽快なしゃべりに、こちらも「トライアスロン」を脳内で楽しみました。 小助六師匠の落語は今回初見で、猫のマクラを楽しみにしていましたが、1匹も猫が登場しなくても充分楽しく堪能できました。
隅田川馬石師匠「明烏」
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隅田川馬石師匠
「明烏」は、この初午の日のお噺として有名らしく、お稲荷さんのお祭りや昔の人の生活が、古典落語の中に生きておもしろおかしく語られている所がステキです。
時次郎は、読書家でお酒も呑まず、お祭りでお赤飯を3杯も食べて来た、子供たちと太鼓をたたいて遊んだなど報告されると、無邪気な様子に頭をかかえる父親。この時次郎の馬石師匠がまじめで可愛いのです。バカが付く程の正直さウブさには、もう面と向かって「あなたたちは札つきの悪ですから」と言われても、本気で怒る気にもなれず、ただ抱腹絶倒です。そして札つきの悪の二人に連れて行ってもらいながら吉原にだまされて連れて行かれた、帰れないとなると泣き出すのは、まだまだ、時次郎が子供だという意味に感じました。
しかし、烏カアで夜が明けると、こんな子供のようだった時次郎が、「あなたたち、帰れるもんなら帰って御覧なさい。大門で止められる」という粋な返事をしているのが、この噺で一番好きな所です。そして、ウブな時次郎すら馬石師匠は見事で、馬石師匠はいったい幾つの仮面を持っているのかと未来の名人を見ているような心持ちでした。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」6/10 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ