渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 6月9日(金)~13日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
林家彦いち師匠が手掛ける、隔月(偶数月)に開催している創作らくごネタおろし会「しゃべっちゃいなよ」!
真打も二つ目も、所属組織がちがう人たちも、一同にかいして世界初披露のネタを演じます。
今回は、昨年末の大会にもエントリー(出演はできませんでしたが)した、鯉八さん、彩大師匠が出演。
立川流からは不思議な世界も古典落語のように淡々と演じる談吉さん、そして花いちさんは渋谷らくご初登場。
もちろん最後は林家彦いち師匠の登場です。業界大注目の「しゃべっちゃいなよ」に来ちゃいなよ!
▽柳家花いち やなぎや はないち
1982年9月24日、静岡県出身。2006年入門、2010年二つ目昇進。最近お父様から「孫の顔がみたいなぁ」とせっつかれて焦っているとのこと。公式ウェブサイトがものすごいお洒落。コンビニで売っている1個21円の「ボノボン」がお気に入りのお菓子。
▽立川談吉 たてかわ だんきち
26歳で入門、芸歴9年目、2011年6月二つ目昇進。昨年末に結婚した。趣味は、ガンダムのプラモデル。落語を聴きながらガンプラを制作している。ツイッターのヘッダーもプラモデル。渋谷らくごには6月10日にご出演されている立川志ら乃師匠から「とろ〜りなめらかプリンが美味しすぎる」と緊急報告をもらったとのこと。立川左談次一門。
▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴11年目、2010年二つ目昇進。2015年「第1回渋谷らくご大賞」受賞。「大学進学で、東京に出てきたとき、上京してきたと思われるのが恥ずかしかったので携帯電話でしゃべるふりをしながらあたりを見回していた」という経験を言語化して覚えている。この経験が鯉八さんの創作らくごにつながっている気がする。
▽三遊亭彩大 さんゆうてい さいだい
1971年8月7日、埼玉県出身。2001年入門、2015年真打ち昇進。
「創作落語っていうのは、自作PCみたいなものです。パソコンなんて買ってくればいいのに、わざわざ作る」という発言をして、彦いち師匠に衝撃を与えた。あたらしく落語をつくりつづけている。「いまだに男子校をこじらせ、引きずっている」とおっしゃっている。ツイッターをはじめたりやめたり、つぶやきを消しちゃったり。が、新しくブログを開設してスケジュールが確認できるようになった。
▽林家彦いち はやしや ひこいち
1969年7月3日、鹿児島県日置郡出身、1989年12月入門、2002年3月真打昇進。
創作らくごの鬼。キャンプや登山を趣味とするアウトドア派な一面を持つ。学生時代は、空手に打ち込む武闘派。こぶしが大きい。「散歩の達人」でも紹介されている。集中する朝は、土鍋でご飯を炊く。創作から生まれた絵本「ながしまのまんげつ」(絵 加藤休ミ 小学館)が発売中! シブラクで「鬼軍曹」と呼び続けたら、世間で鬼軍曹と思われるようになってしまったが、優しい。
レビュー
「渋谷らくご」2017年6月公演
▼6月13日 20:00~22:00
林家彦いちプレゼンツ 創作らくごネタおろし会「しゃべっちゃいなよ」
柳家花いち-鉄拳制裁
立川談吉-肛門飴舐め専門店
瀧川鯉八-一本釣り
三遊亭彩大-甲冑師不二九郎
林家彦いち-・・・という
Twitterのおかげで、演者さんや観客にもそれぞれの思いがあることが可視化されています。今回は、「シブラク」や「しゃべっちゃいなよ」の出演に関して発した彩大師匠のつぶやきが、一部で波乱を呼びました(現在は見ることができません)。談吉さんはネタができずに追い込まれ過ぎて、美輪さんの「愛の賛歌」にすがっていることをつぶやいていました。
そんな人たちの口から出てくる、本音の落語が面白くないわけがありません。お客さんも雨上がりの夜8時、わけのわからない創作落語を聴くために、いろいろな予定をやりくりしながら渋谷にやってくる。今月のシブラク最終公演は、演者も観客もノーガードで打ち合う壮絶な時間となりました。
柳家花いち-鉄拳制裁
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柳家花いちさん
今回の「鉄拳制裁」は、殴った人の捨て台詞の内容が、殴られて意識を失った人の頭の中で展開される不思議な話。ちんぴらの子分「カメノスケ」が兄貴に「地獄を見ろ」と言われて殴られると、気絶したカメノスケの意識の中は「血の海地獄」だったりします。
落語の素晴らしいところは、一瞬で好きな場所にワープできて、好きな状況が作り出せるところ。花いちさんはその特性を存分に活かして、お笑いとバイオレンスを掛け合わせた、妄想たっぷりの物語を聴かせてくれました。ちんぴらの兄貴が子分をひたすら殴り続けるハードボイルドテイストにやられました。
立川談吉-肛門飴舐め専門店
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立川談吉さん
ギャンブルプレーで、2度と同じ手は通じないことはご本人もわかっているのでしょう。ただ談吉さんの誠実なキャラとシブラクのお客さんがマッチしてエアポケットが生まれたのは奇跡。「本当にしゃべっちゃったよ」と思って見ていました。
ストーリーは演目どおりで、あとは錦糸町というキーワードを加えるだけ。そんな下ネタでありながら、古典の基礎がしっかりしている談吉さん。アメをなめる仕草には「初天神」の技術が生きています。扇子2本と手ぬぐいを使ってお好み焼きを焼く仕草もお見事。チュッパチャプスをお尻に入れる仕草は「尻餅」かしら。稽古の跡がちゃんと見られるのが古典派の矜持かもしれません。
瀧川鯉八-一本釣り
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瀧川鯉八さん
物語は、漁村を守る女たちが、旦那の帰りを待ちながらも、フラリと村にやってきた若い男に色めき立つというお話。スナックに集まる女たちの人間関係や駆け引きが見どころです。
鯉八さんの落語を聞いていると、登場人物たちの会話だけでも漁村の景色、匂い、気温、海の色などが脳内に浮かんで来ます。鯉八さん自身がバーチャルな映像再生装置としての役割を果たし、普通の人の普通の生活を生き生きと見せてくれる。何でも情報を足していく時代に、情報を極限まで排除して、人間のありのままを見せてくれる安心感。鯉八さんの創作落語には人間ならではの営みが描かれています。
三遊亭彩大-甲冑師不二九郎
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三遊亭彩大師匠
「しゃべっちゃいなよ」2回目の彩大師匠のネタは戦国モノ。鎧・兜を製作する甲冑師の物語。フエスギケンチンと、タケタチンゲンの永遠のライバル同士が、中々島で雌雄を決する戦いに、甲冑師のフニクロウが巻き込まれます。
落語にはほとんど出てこない戦国時代を選び、あえてシブラクでかけるのが彩大師匠。落語ではなじみがない戦国ですが、時代小説で描かれる世界はほとんどが戦国時代ですし、大河ドラマも戦国時代。漫画もゲームも戦国時代ですから、落語になかったのが不思議なくらい。誰もが好きな戦国時代を落語にしてくれた彩大師匠に感謝です。
戦国時代の設定でありながらも、権力者と被権力者の探り合いの構図だったり、個性的になろうとして個性を失ってしまう人間だったりと、描いているテーマは現代的。彩大師匠の人間観察力が発揮された一席でした。
菊池寛作の「形」や橋本麻里編の「変り兜」など、マクラの解説も知的興奮にあふれていて、まさに真打が作ってしゃべる高いクオリティの創作落語を見せてくれました。
林家彦いち-・・・という
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林家彦いち師匠
ショートストーリーの名手の彦いち師匠。どの登場人物が話す物語もユニークでオチが付く。笑いながら聴いているうちに引き込まれ、彦いち師匠の術中にはまっていきます。ラストの意外な展開にもびっくり。聞き終わっても頭の中の整理ができず、SF映画「メッセージ」を見終わった時の気分でした。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」6/13 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ