渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 10月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
どのジャンルでも、着実な仕事をする「職人」と言われる人たちがいて、また彼らの「職人芸」を愛するお客さんたちがいます。
最高の職人を集めました。小助六、小せんの両師は寄席でも重宝されている仕事人。そんな仕事人たちがメインディッシュとなる会です。二つ目の音助さんがこのふたりにはさまれて、どう印象を残してくれるかにも注目。鳳笑さんの、一度見たら忘れない強烈な個性も、味わい方がわかればあっという間に虜になりますよ。
▽三遊亭鳳笑 さんゆうてい ほうしょう
28歳で入門、芸歴12年目、2010年10月二つ目昇進。アメブロをやっていて、坂口安吾から忌野清志郎まで幅広い中身の濃い記事が続く。読書家。最近買った本は、中上健次の「地の果て 至上の時」
▽雷門小助六 かみなりもん こすけろく
17歳で入門、芸歴18年目、2013年5月真打ち昇進。カールと麩菓子が好き。4匹の猫を飼っていて、猫アレルギー。インスタグラムでは、猫と戯れる小助六師匠を垣間見ることができる。今年火鉢を手に入れた。その火鉢を小痴楽さんが狙っているとの噂。
▽雷門音助 かみなりもん おとすけ
23歳で入門、芸歴6年目、2016年2月二つ目昇進兄弟子が小助六師匠で、楽屋で一緒になると小助六師匠に甘えている。学生時代は、京都の花街にあるおしゃれな喫茶店でバイトをしていたとのこと。好きな食べ物はそばとすあま。
▽柳家小せん やなぎや こせん
22歳で入門、芸歴21年目、2010年9月真打ち昇進。渋谷らくごにご出演の橘家文蔵師匠と入船亭扇辰師匠と音楽ユニット「三K辰文舎」としても活動中。旅先だと早く目が覚めてしまう。ミステリー作品を好む。町内会の会長だったとの噂がある。
レビュー
10月14日(土)14時~16時「渋谷らくご」
三遊亭 鳳笑 (さんゆうてい ほうしょう)「看板のピン」
雷門 小助六(かみなりもん こすけろく)「百川」
雷門 音助(かみなりもん おとすけ)「てれすこ」
柳家 小せん(やなぎや こせん)「井戸の茶碗」
「やる気がでない日の楽しい過ごし方」
14時、17時、20時とずっとシブラクにおこもりの一日。雨と寒さは関係なしの空間で、暖かくフカフカな椅子にぼんやりと腰を掛ける。気が付いたら夜だったというなんとも贅沢な休日。三遊亭鳳笑さん
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三遊亭鳳笑さん
鳳笑さん。何度見てもインパクトが凄いです。一言一言の力の入り具合、小刻みに震えたような手の動き、グリグリと回る首。目を見開いてこちらを向いた瞬間、ウッ!と声が出そうになり焦りました。これは笑っていいのかしらと少し不安にはなりますが、癖になる楽しさ。ホーンテッドマンション。まくらではクスリをやっているんじゃないかと疑われたことや、小さい頃大きな病院に脳の精密検査に連れていかれたエピソードを話していましたが、結局検査の結果が明かされないまま噺に入っていきます。(気になる!) 演目は看板のピン。「胴を取る」「粒がこぼれる」等パッとイメージしづらい言葉も出てきますが、他の部分から補完できたので難しい印象は受けませんでした。親分の賢さと粋な雰囲気も楽しく、調子に乗って真似しようとする場面も愛嬌があって朗らかな気持ちになりました。
雷門小助六師匠
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雷門小助六師匠
お馴染みのネコのまくら。動物を愛する人って雰囲気が柔らかい感じがします。「鳳笑さんの衝撃は、初めて寄席で南なん師匠を見たときの衝撃に似てる」とのこと。来月が楽しみすぎます。小助六師匠のさらりと柔らかい語り口の中、急に田舎者の訛りの強いキャラクターが出てくるとギャップがあって楽しいです。まるで外国語のような流暢な訛りが理解できず、怪我人がいると勘違いした外科のお医者さんは「焼酎と、さらしと、鶏卵を用意しておくように」と伝えます。その話を聞いた河岸の若い衆たちは常磐津のお師匠さんがさらしを巻いて卵を飲むんだと勘違いする場面があるのですが。これはこの後17時の回の「寝床」で義太夫好きの大家さんが「さらしと鶏卵を用意するように」と言ったことともリンクする感じがしてさらにおもしろかったです。
雷門音助さん
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雷門音助さん
まくらでは学校寄席のこと、兄弟子の小助六師匠の話、普段知り得ないことをたくさん聴けて嬉しいです。音助さんは相変わらず若々しい見た目と、飄々としつつも落ち着いた印象の口調。サザエさん風の絵柄で似顔絵が描けそうだなと思うのは髪型のせいでしょうか。音助さんの演じる女性は強く賢く、丁度いい色気があってとても素敵です。もっと女性の出てくる噺が聴いてみたいなぁと思います。「てれすこ」は初めて聴きました。題名は知っていたものの聴く機会がなかったのでちょっと感動。うまいこと言えば許されるという、粋なのかなんなのか、ほんの少しふわっとした感じがあるところが味わい深いです。お奉行様が出てくる噺は“めでたしめでたし”感があって、最後にホッとできるので好きです。
柳家小せん師匠
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柳家小せん師匠
まくらはほとんど振らずに「井戸の茶碗」へ。落語や講談や浪曲でいろいろなパターンで聴く機会がありますが、小せん師匠は端正な口調でかっこいい。どこで息継ぎしてるのかしらと思うほど早口で喋る部分も多いのですが、流れるようにスーッと入ってくるので聞き逃すこともなく、とても心地が良いです。登場人物にも無理がなく、全員正直で清廉潔白。例えば登場する“千代田卜斎”は頑固で怒りっぽいイメージだったのですが、小せん師匠が演じると優しさが前面に出て、武士の魂があるから慈悲にすがるわけにはいかない、としっかり丁寧に断る。筋が通っているなぁと納得させられます。 細川のお殿様との茶碗のやりとりも丁寧に細かく聞けたので「井戸の茶碗」というタイトルの意味も、オチもしっかり納得できてスッキリ大団円。今まで聴いた「井戸の茶碗」で一番かっこいいと思いました。
【この日のほかのお客様の感想】 「渋谷らくご」10/14 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ