渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 10月13日(金)~17日(火)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
平均年齢30代、二つ目と若手真打のみで構成されたこの番組は、高みを目指して奮闘し続ける年齢の人たちにしか出せないパワーがみなぎる会になります。
丁寧にやる人、サービス精神旺盛な人、自分の落語を見つけつつある人たちの想像を超える跳躍にご期待ください。
▽柳家緑太 やなぎや ろくた
25歳で入門、芸歴8年目、2014年11月二つ目昇進。古典落語をラップにしている。単純にラップにするだけでなく、落語文脈もラップ文脈も踏まえていて、完成度が高い。Youtubeで公開されている。市童さんにラップやダーツを教えた犯人は、緑太さん。
▽立川志ら乃 たてかわ しらの
24歳で入門、芸歴20年目、2012年12月真打昇進。最近は、ライフの「信州あづみ野 おいしさそのままのむヨーグルト」にハマっているとのこと。ジャージ柄の着物からデニムの着物まで着こなす。最近歯の治療をはじめる。
▽柳家小八 やなぎや こはち
25歳で柳家喜多八師匠に入門、芸歴14年目、2017年3月真打ち昇進。ラーメン二郎と一蘭が大好き。ラーメン二郎は店舗毎に考察をおこなっているほど好き。背が高い。お父様も背が高く180cmを超えているらしい。
▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。フジテレビ「ポンキッキーズ」にレギュラー出演中。テレビ東京「ミライダネ」では、ナレーション出演。アウトドア好きな一面もあり、急遽思い立ちひとりで雪山を登ったりしている。
レビュー
10月15日(日)14時〜16時「渋谷らくご」
柳家緑太(やなぎや ろくた)「鷺とり」
立川志ら乃(たてかわ しらの)「時そば」
柳家小八(やなぎや こはち)「片棒」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)「誰にでも青春3」
10月の渋谷らくごさんは15日の14時の会へ伺わせて頂きました。若手落語家さんの会です。拝聴して驚いたのは、まくらの完成度の高い方や、古典落語を丁寧にかける方、落語の綺麗な方、創作落語の素晴らしい才能の方など、「みんなちがってみんなよい」(by金子みすずさん)なのに、全体的にかなりおもしろかったのです。若手落語家ブームというのは、ただのブームではなく、クオリティの高い若手落語家さんが育っているからでもあるのだと改めて感じました。 今月も充実したひと時、素晴らしい会をありがとうございました。
柳家緑太さん「鷺とり」
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柳家緑太さん
まくらはもう、最高傑作のおもしろさでしたが、落語も負けず劣らず最高に軽くて可愛い「鷺とり」です。すずめや鷺が出てくるのですが、酔っ払いもすずめだと想像すると微笑ましいですし、アルコール入りのお米で酔っ払って寝てしまう江戸っ子すずめとアルコールに強い大阪すずめが、「もう一軒行こう」とすずめだけで居酒屋へ飛んで行くくだりは最高です。忍ばずの池で眠る鷺(さぎ)のしぐさも、浅草寺の五重塔まで鷺たちに飛ばされるところも可愛らしい「江戸の童話」を聞いているようで楽しい落語でした。
立川志ら乃師匠「時そば」
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立川志ら乃師匠
大御所落語家さんの事務所でお使いに行く恵比寿のスーパーで選ぶカップラーメンから「時そば」へ導くのはさすがです。まくら王健在ですね。
志ら乃師匠の「時そば」は数ある「時そば」の中でも笑わずにはいられない爆笑系の「時そば」で今回もおおいに笑わせて下さいました。2件目の蕎麦屋さんの腹黒さ、欠けていないところが一切ない茶碗、洗っていない箸、味わったことのない味を言語化しようとしたあげく「みょがい」という新語が産みだされるほどのすごい味!実力ある真打ちの「時そば」お見事でした。
柳家小八師匠「片棒」
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柳家小八師匠
けだるそうに、丁寧に「さんぼう」を一つ一つ説明して、「もしご家族、ご親類にいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。」と手順を踏むように語る小八師匠。スタンダードな古典落語らしく「片棒」に入る小八師匠の語りで、いつの間にか私は「片棒」のけちべえさんになったかのような気持ちになって、「誰がどんなお葬式をしてくれるのか」興味深かったり、お通夜を2晩やると聞いて驚いたりと我を忘れて深く噺に入っていました。
小八師匠にまくらで感じたけだるい印象は落語に入ると消え去るのも不思議です。小八師匠の時間は、静かに深く噺に入りしっかり古典落語の世界に浸る心地よい時間でした。
春風亭昇々さん「誰にでも青春3」
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春風亭昇々さん
いつの間にか高校10年生になっている太郎とななこ、そしてライバル役として出演の白鳥。白鳥(しらとり)というキザな男の子とヒロインななこが鳥に因んだダジャレを披露するのも一興で、結構楽しみです。
永遠に学生時代を好きな女の子やあの人とおくる夢のような誰にでも青春パラレル・ワールドは、卒業することなく続ける3人の淡いラブ・コメディ。
けれど、作家・昇々さんは、登場人物を永遠の少年少女でいさせる訳でもありません。シリーズが進むごとに留年の年数は増え、登場人物も年を取って行きます。今回は、後輩が教師として赴任してななこに倫理を教えているという所に表現され「この人たちだけ留年10年生」感がたっぷりで(なんで卒業しないんだろう)と思いつつも、高校生でいてラブコメしている3人が楽しいのです。そして青春ものだけに、ほろ苦いノスタルジーも感じられて満たされた気持ちでした。
【この日のほかのお客様の感想】
「渋谷らくご」10/15 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ