渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2018年 11月9日(金)~14日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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11月10日(土)17:00~19:00 台所おさん 三遊亭粋歌 雷門小助六 瀧川鯉八

「渋谷らくご」愛らしい人々 瀧川鯉八さんトリ公演

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プレビュー

 芸人は、技術だけではなく愛嬌があって可愛い。つまり愛らしい! 
 なーんか普通の人と目の付け所がちがって、斜めから世の中を見ている。そういうところは意地悪そうでありながら、なぜか愛嬌があって可愛い。そんな芸人性の塊のような人々。
 この公演は、昨年の渋谷らくご大賞受賞者でもある、二つ目 瀧川鯉八さんのトリ公演です。爆笑必至。

▽台所おさん だいどころ おさん
31歳で入門、芸歴17年目、2016年3月真打ち昇進。最近まで、お財布とスイカをもっていなかった。小銭はポケットに押し込んでいたため、ポケットがパンパンに膨らんでいた。菓子パンが好きで、菓子パンのことを友達だと思っている。

▽三遊亭粋歌 さんゆうてい すいか
2005年8月入門、現在13年目、2009年6月二つ目昇進。28歳で突如会社勤めをやめて、落語家になる。子育てのまっただ中。新作落語は喫茶店かファミレスに入ってつくる。やらなければならないことは文字にして家の中に貼り出すタイプ。

▽雷門小助六 かみなりもん こすけろく
17歳で入門、芸歴19年目、2013年5月真打ち昇進。演芸資料コレクターの一面も持ち、後輩から甘えられる体質。愛猫家。旅の仕事を終え、久々に家で横になると猫が甘えてくる。スーツにおしゃれな帽子、ポカリスエットを持参して楽屋入りする。

▽瀧川鯉八 たきがわ こいはち
24歳で入門、芸歴11年目、2010年二つ目昇進。鯉八さん初めてのCD「渋谷らくご名演集」はもう間もなく完売。中山うりの「青春おじいさん」が好き。コンビニに寄らないように気をつけていたら、痩せることが出来た。

レビュー

文:とも朕 Twitter:@dejidj2016 (シンガポール育ち。落語、漫画、アニメ、映画が大好き。)

11月10日(土)17時〜19時「渋谷らくご」
台所おさん(だいどころ おさん)「子ほめ」
三遊亭粋歌(さんゆうてい すいか)「フォーリンロボ −志ん五・作−」
雷門小助六(かみなりもん こすけろく)「はてなの茶碗」
瀧川鯉八(たきがわ こいはち)「いまじん」

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。フレディ・マーキュリーという天才の、苦悩に満ちた短い生涯に涙しました。クイーンのファンでなくても必見です。スターとして生きること、名曲を創造し続けるのは辛く大変なこと。が、フレディ本人は明るく純粋で、可愛らしい人だったようですね。
天才といえば今日のトリは鯉八さん。彼の創作落語は脳内でビジュアル化しやすく、まるで映画か演劇のよう。「カメラを持たない映画監督」とも言われているようです。
プレビューによると今日は「愛らしい人々の会」。ひょうきんで可愛らしい人は大好きです!

台所おさん師匠「子ほめ」

  • 台所おさん師匠

    台所おさん師匠

元・球児だったというおさん師匠。演芸の原点は、野球部打ち上げの隠し芸大会だったとか。人に歴史あり、とはこういうことでしょうか?
毎月、「癒やしをお届け」して下さるおさん師匠。今日のマクラが「原点」についてだったからでしょうか?お噺も、これまた超スタンダードな「子ほめ」。
不器用な人が他人を褒めて良い気分にさせるのは、(そして、良い気分にさせて恩恵を被るのは)なかなか難しいものです。
人を褒めちぎっているつもりが失敗して、どんどん深みにハマっていくおバカさん。そんな男の姿を、トボケたテイストでジワジワ笑わせてくれる。そんな独特のスタイルがチャーミングな、おさん師匠でした!

三遊亭粋歌さん「フォーリンロボ−志ん五・作−」

  • 三遊亭粋歌さん

    三遊亭粋歌さん

新作落語ユニットに所属しているという粋歌さん。ユニットの先輩・志ん五師匠の作品をシッカリ自分のモノにして演じ上げました。
お噺には、恋人ロボットで寂しさを埋める人が登場。AIやロボットでなくても、スマホで寂しさを紛らわせている人は今でも沢山いるので、特に現実離れしたSFではないような気がしました。むしろ、哲学的?
結末は、まるで「荘子」。「夢の中で胡蝶になり、自分が蝶になる夢を見ている人間か、人間になる夢を見ている蝶か、区別がつかなくなった」という故事を思い出させるような展開に唸りましたね。面白かった!

雷門小助六師匠「はてなの茶碗」

  • 雷門小助六師匠

    雷門小助六師匠

写真家さんによるとフォトジェニックな小助六師匠。確かに大きなお目めや優しい表情が、写真映えしそうです。
今日のお噺は一種のサクセス・ストーリー。
あるお茶屋さんで、飲み終わった茶碗を不思議そうに首をひねったりして見て「はてな」と言って帰った旦那。この方、実は日本一の茶道具の目利き。これを見ていたのが油売りの男、この茶碗は千両くらの値打物かも知れない?と大枚を叩いて茶碗をゲット。
その後、道具屋に持ち込み番頭さんに例の茶碗を見せると「こんな安茶碗、何の値打ちもない」と笑われガッカリ。ですが、あることをキッカケに茶碗の価値はみるみる上がって、驚きの結末に!
小助六師匠ならでは、愛嬌たっぷりの演技が味わい深い一席でした。が、天皇陛下のモノマネまで出ると思わなかった。。

瀧川鯉八さん「いまじん」

  • 瀧川鯉八さん

    瀧川鯉八さん

「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したのは夏目漱石。二葉亭四迷は「死んでもいいわ」と訳しました。この世の事象は全て人間のイマジネーション次第。
男達が妄想するのは妄想する武士達で、武士達の妄想はまるで昔の松竹の時代劇?、なにこれ。突然登場するお姫様の「ビャッハッハッハ〜」という笑いも悪夢のようにシュール。ジグムント・フロイトならどう分析するの、これ? みたいなお噺でした。。
一方、岩崎恭子ちゃんの不倫にショックを受けつつ、「今なら金メダリスト、抱けるかも?」というマクラでのゲス発言も、一際面白かった鯉八さんでした。

本日は写真家・武藤奈緒美さんのトークがあり、興味深く拝聴しました。私も今回は、フォト目線でのポイントを参考に、噺家さん達の仕草やマクラから本編に入る時の表情の変化・目力などにも注目して観ることができ、楽しさ倍増でした!

【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」11/10 公演 感想まとめ

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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