渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2018年 11月9日(金)~14日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

イラスト

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11月12日(月)20:00~22:00 立川吉笑 柳家わさび 春風亭昇々 入船亭扇辰

「渋谷らくご」扇辰師匠と3人の二つ目

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プレビュー

 洋行帰りの扇辰師匠。聴く人たちを、濃密な空間に誘う魔法のような落語。語りとシグサで圧倒的な世界観を紡ぐ。
 そんな大真打に挑む3名の若手。立川流の若き獅子 吉笑さん、まもなく真打のわさびさん、気力充実の昇々さん。
 人気の二つ目3名ですが、どういう形で対抗してくるのか!? こうご期待。初心者に超オススメ!

▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門8年目、2012年4月二つ目昇進。もともと酒豪であったが、禁酒をしているため炭酸水を飲んでいる。深夜に10kmほどジョギングをして、汗だくになっている。最近引っ越しをして、料理をはじめている。プリントフィナンシェの美味しさに気付く。

▽柳家わさび やなぎや わさび
23歳で入門、芸歴15年目、2008年二つ目昇進。痩せ形で現在の体重は52kg。体重が軽いので、競技ボートのコーチに「向いている」と言われたらしい。歯を矯正している。NHKにて「落語ディーパー」に出演中。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。楽屋で仲間を驚かせるためパンツ一枚になることがある。この秋から文化放送のラジオの金曜パーソナリティーをつとめる。この秋、南高尾山稜トレイルランを敢行した。

▽入船亭扇辰 いりふねてい せんたつ
25歳で入船亭扇橋師匠に入門、現在入門28年目、2002年3月真打昇進。ギターからピアノまで演奏する。11月初旬から欧州落語ツアーをやってきた。場所場所でビールを嗜む。iPadを使いこなし、気になったものはすべて写真におさめている。

レビュー

11月12日(月)20-22「渋谷らくご」
立川吉笑(たてかわ きっしょう) 「ハメモノ落語neo」
柳家わさび(やなぎや わさび) 「花色木綿」
春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう) 「湯屋番」
入船亭扇辰(いりふねてい せんたつ) 「幾代餅」

落語を聴いていて、落語の世界に没入した時に、僕はなにをみているのか、そういうことを考えることが好きです。

立川吉笑さん

  • 立川吉笑さん

    立川吉笑さん

吉笑さんの今回の落語を聴いて、落語の世界に没入すればするほど吉笑さんの顔に釘付けでした。
プロジェクションマッピングされた東京駅をみると、投影された雪や花びらはたしかに綺麗。だけれどもその一方で東京駅の綺麗さがより一層際立っていく。みたいな感じで、吉笑さんの落語に没入すればするほど、吉笑さんの「顔」の情報量がただただ増していく。落語を聴いていて、はじめての体験。
インタレスティングな面白さもあって、ファニーな面白さがあって、ちゃんと爆笑。あらためてレビューを書きながら吉笑さんの落語を思いだしても、やっぱり衝撃的な時間だったなと思います。

柳家わさびさん

  • 柳家わさびさん

    柳家わさびさん

吉笑さんの衝撃がすごかったので、頭の中がくらくらしていました、わさびさんが「まくら」で身辺雑記を話されている時、「この言葉はわさびさんから発せられている言葉だよね!」と脳内で強く確認。
脳内で「そうそう、わさびさんって 世間をうがった見方しているわよねぇ」みたいなお茶の間のおばちゃんが声を出した瞬間、わさびさんのギアが変わって突如はじまる「花色木綿」。
わさびさんのキャラクターと落語の中の登場人物がシンクロする? わさびさんが つらつらつら〜と淀みなく落語を繰り出すので、座布団の上に座っているわさびさんの顔がみえなくなって「世間をうがった見方」をしているわさびさんのキャラクターが落語の登場人物に注入されるかんじ。あの電光石火、気持ちよかったです

春風亭昇々さん

  • 春風亭昇々さん

    春風亭昇々さん

昇々さんの顔がイケメンと言われたりしていますが、昇々落語には昇々さんの顔が必要なんだ!と強く思います。今回も昇々落語を聴いて改めて実感しました。
「イケメンが変顔をするからギャップで笑いが生まれる」みたいなことではない。
昇々さんは自分を消すようにスピーディーなんだけれども、ちゃんと丁寧に落語を展開するので、実は昇々さんの顔は見えてこなくなる、けれども昇々さんが落語で遊びだした瞬間とか落語と戯れ始めた瞬間に昇々さんの企みの笑顔が浮かび上がる、その企みの笑顔が素敵で、その顔を見たい!みたいな感じです。
そういう意味でも昇々さんは「イケメン」なのかと思いました。

入船亭扇辰師匠

  • 入船亭扇辰師匠

    入船亭扇辰師匠

座布団の上に座っている扇辰師匠は、まぎれもなく扇辰師匠。でも落語がはじまると、扇辰師匠の姿はみえなくなっている。
一生懸命生きている若者、一生懸命心のうちをしゃべる若者、ちょっとやせ細っているけれども様子がいい感じの若者を見ました。扇辰師匠は見えなくなって、たしかに20代くらいの若者しか見えなくなっていました。
花魁がでてくる、絶世の美女。僕も一目惚れしてしまうくらいの絶世の美女がたしかに僕にも微笑んだ、その絶世の美女を見ました。しかも同時に若者も見えちゃう。
「演者が消えて情景が浮かび上がる」みたいな批評を目にするけれども、落語を聴きながら僕はなにを見ているのかわかりません。
でも何度も落語を聴きたくなって、しかもライブで落語を聴きたくなる理由を改めて実感しました。

【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」11/12 公演 感想まとめ

写真:武藤奈緒美Twitter:@naomucyo
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