渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 11月10日(金)~15日(水)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
「擬古典」という創作らくごに着手している吉笑さん、創作らくご大賞2016の粋歌さん、渋谷らくご初登場の南なん師匠は可愛げ炸裂の大ベテラン、トリは渋谷らくごの屋台骨、馬石師匠。
贅沢で、個性的なメンバーが揃いました。落語という芸能の懐の深さを実感できる初心者オススメの会。
▽立川吉笑 たてかわ きっしょう
26歳で入門、現在入門7年目、2012年4月二つ目昇進。先月オンラインサロン「立川吉笑GROUP」を立ち上げ、ウェブを活用した新しい落語家の動きを模索している。現在メンバーは128人。時代劇に出演するために、カツラ合わせをした。
▽三遊亭粋歌 さんゆうてい すいか
2005年8月入門、現在12年目、2009年6月二つ目昇進。28歳で突如会社勤めをやめて、落語家になる。子育てのまっただ中。この夏は、ウィダーinゼリーの0カロリーをとにかく買った。小沢健二ファンで、「小沢健二ありがとう」と定期的にツイートしている。
▽桂南なん かつら なんなん
19歳で入門、芸歴41年目。1991年5月真打昇進。小助六師匠がツイッターで「芸協の宝こと桂南なん師匠が登場しますよ!」とツイートされている。ツイッターで、「南なん師匠がシブラクに登場する!」と話題になっている。
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴24年目、2007年3月真打昇進。いまでも毎日5キロ、荒川沿いを走っている。1年に1度は市民マラソンに参加するときめている。フルマラソンのベストタイムは、4時間を切るほどの速さ。マラソン中継を見るのが楽しみ。
レビュー
11月12日 (日) 14時~16時「渋谷らくご」
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「舌打たず」
三遊亭粋歌(さんゆうてい すいか)「コンビニ参観 / 二人の秘密」
桂南なん(かつら なんなん)「夢の酒」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)「火焔太鼓」
渋谷らくご3周年おめでとうございます!
安室ちゃんのビジュアルにジャックされ、「安室詣で」現象が起きていると言う噂の渋谷。
そんな街の熱気に負けないくらい、いやそれ以上に、
シブラク会場は、お祝いムードで大盛り上がりでした!!
立川吉笑さん「舌打たず」
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立川吉笑さん
はじめに、本日シブラク初登場の南なん師匠がまだ到着していらっしゃらず、携帯を持っていないので迷ったら終了だというアナウンス。
ちょっとドキドキです。心の中で思わず応援。
まくらでは、昨日の稽古会後の打ち上げ中、たまたま相席された方が、なんと文蔵師匠が登場という奇跡が起こったお話や、兄弟弟子の笑二さんの天然すぎるエピソード。
面白さのボリュームがパンパンに溢れ出して、会場が最高に盛り上がっていました!
立川流の流儀として、立川流すごいと思ってもらうために、宴会などでお金に糸目をつけないそう!芸人の世界は男気半端ないんですね!
お話は「舌打たず」。
舌打ちと目の開閉で全ての気持ちを伝えようとする試みのお話。
いっこく堂さんの腹話術や昔の衛星放送みたいに、言葉と言葉が舌打ちで区切られるテンポから、吉笑さんの表情としたうちだけで織りなされる暗号の様な会話に進化していき、病みつきになりました!
まさかこれが完成したら、エスペラント語以上の世界共通言語の完成じゃないかと思いましたが、やはりオチがありましたー!
プレビューに「擬古典」という創作らくごに着手しているとあったので調べてみたところ、吉笑さんの公式サイトに「古典落語の世界観を使って自分らしいギミックを形にする」という手法で拵えたネタを擬古典と呼んでいるとありました。世界を再構築する感じ、かっこいいです!
主催されている、オンラインサロン『立川吉笑GROUP』も気になります!
三遊亭粋歌さん「コンビニ参観 / 二人の秘密」
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三遊亭粋歌さん
今日は粋歌さんが作られた創作落語!しかも2席!
粋歌さんご自身の創作落語が聞けたらなあーと期待して来ていた私は感無量!
1席目は「コンビニ参観」。
初めてアルバイトをする東大生の男の子と今流行りの過保護な毒親のお母様、コンビニ中を巻き込んで繰り広げられます。
まるでおもしろドキュメンタリーを見ているかのように会場中大笑いです!
このお話をやると「ああいう人いますよね」と喋りかけてくる方は大概、先生をされている方だとか。
教育現場の闇を感じましたー。
2席目は「二人の秘密」。
妻が10年前に亡くなったと思い込んでいる認知症のお父さんと、そんな旦那を甲斐甲斐しく世話をするお母さん。
今問題になっている老老介護のお話で、最後に「二人の秘密」ができ、とても感動的なラストを迎えます。
今日の粋歌さんの装いが、古い日本家屋の窓から見える、日本庭園の中に優しく降り注ぐ泡雪の風景に見えてきて、さらにほっこりとした気持ちにさせてくれました。
演目の噺家さんによっての違いや技などを楽しめる境地には程遠い、薄っぺらな初心者の私でも、心の底から楽しめるお話ばかりでした!
粋歌さんの他の創作落語も是非是非聞いてみたいです!
桂南なん師匠「夢の酒」
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桂南なん師匠
巨匠って感じの方だなーと思って眺めていたのですが、口を開かれた南なん師匠から出てきた声は、想像以上にとても柔らかい声色で、そのギャップにびっくりしました。
やはりたどり着くのが大変だったそうで、交番がかなり混んでいて尋ねたくても、並んで待つわけにもいかず、さまよいながらなんとか無事、会場に到着されたけれど、変なところから登場しようとしてしまい関係者の方に注意されたそう。
なんだかキュンキュンしちゃうエピソードに、会場のみなさんもなんだか愛に溢れた笑いを送っていて、ほっこりしました。
お話は、「夢の酒」。
旦那さんが見た、夢の中の女性に嫉妬する奥さま、そして仲裁しようとする大旦那のお話。
夢の中で誘惑する女性はとっても魅惑的で、対照的に夢にまでやきもちを焼いてしまう純粋可憐な奥さま。
男性にはいろんな意味で、たまらない状況ですね。
まくらでは、今は休憩中とおっしゃりながら、ゆるーりとした口調でしゃべってらっしゃったのですが、お話に入ると、いきなりグググッと急発進のスイッチが入ったかの様にすごく力の入った語り口にシフトチェンジ!
プロの凄さに感服いたしました。
隅田川馬石師匠「火焔太鼓」
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隅田川馬石師匠
外国の方まで大きな声で笑っていたり、大笑いしすぎて、興奮のあまり客席から身を乗り出して前席にダイブしそうになってしまう方までいるほどの熱狂的な客席!
まくらでは、芸能のはじまりを話してくれました。
なんと農業が大嫌いな農民がサボっている代わりに、仕事の休憩中にみんなに悪いなーと思って、休憩の時にひょっとこの様な芸とかをしているうちに、だんだん色々工夫しだして、いつの間にかそっちが本業になったのが始まりだそう!
まさか農民発の芸能文化だとは思わなかったので、衝撃でした。
お話は「火焔太鼓」。
かなり有名なお話だそうですが、初心者の私ははじめて聞きました。
主人公のキャラクターと馬石師匠の表現が絶妙に魅力的。
初めから大笑いなのですが、そのボリュームは加速が止むところを知らず、笑いの渦が駆け抜けて突き抜けていく感じ!笑いすぎてはち切れそうになりました!
そして、馬石師匠の身振り手振りの表現性、そして手そのものの大きさにすごく引きつけられました!
頭でこんな感じなんだろうなと、想像して情景が浮かんでくるのではなくて、目の前で実際にその現場がリアルに再現されていて、現実とお話がシンクロして重なって見える感じ!
某局の落語をドラマ仕立ての再現VTRで紹介する番組なんかも最近ありますが、それ以上に、再現性がすごくて、本当に噺の中に入ったかの様なまさに今話題のVR仕様!
すごいです!すごすぎます!
「擬古典」落語から始まり、「創作落語」、そして「古典落語」というスペシャルパックな贅沢さ!奥深さ!
つい最近まで「古典落語」は古典用語で全部語られる落語なのだと勘違いしていたレベルの、馬鹿すぎる初心者の私でも非常に楽しめる、素敵な会でした!
『渋谷らくご』は、色々な種類の落語が聞けて、たくさんの魅力的な方々が登場され、縦にも横にも広い魅力が溢れていて、本当にすばらしいですね!
あらためて、3周年おめでとうございます!
4周年、5周年・・・100周年とどんどん続いて行って欲しいです!
楽しみにしています!
【この日のほかのお客様の感想】 「渋谷らくご」11/12 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ