渋谷らくごプレビュー&レビュー
2017年 11月10日(金)~15日(水)
開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。
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プレビュー
「落語」というものに触れて間もない、あるいはまだ触れたことがないという人に、もっとも触れてほしい公演です。
ジャンルの真ん中で毎日腕を磨いている40代! 気力と体力と技術のバランスがもっとも均衡のとれた時期、あと30年は一緒に歳を重ねていきたい落語家さんを見つけたい人にオススメです。とにかく最高!
▽隅田川馬石 すみだがわ ばせき
24歳で入門、芸歴24年目、2007年3月真打昇進。いまでも毎日5キロ、荒川沿いを走っている。1年に1度は市民マラソンに参加するときめている。フルマラソンのベストタイムは、4時間を切るほどの速さ。マラソン中継を見るのが楽しみ。
▽古今亭菊之丞 ここんてい きくのじょう
18歳で入門、芸歴26年目、2003年9月真打ち昇進。この夏の落語協会のイベントでも、浴衣姿で約3000個のたこ焼きを焼ききる。折あるごとにたこ焼きについて熱く語っている。NHKドラマ、「64」に出演。役柄は将来警察庁長官を狙う県警本部長役。
レビュー
文:月夜乃うさぎTwitter:@tukiusagisann 趣味:茶道 猫のいるカフェ巡り
11月10日(金)18時~19時「ふたりらくご」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)-湯屋番
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)-妾馬
まくらでは、サッカーのブラジル戦、日本シリーズの白熱戦、あるお相撲さんを例えて、客席に、観戦している時の応援する気持ち、せつなさ、熱さを共有して下さいました。
11月の日本シリーズは負ける可能性が高くても、熱くなって観ておりましたので、馬石師匠の観戦や応援の心理は、ストンと腑に落ちます。
野球チームでも、演者さんでも、半官贔屓が働くといいますか、不思議と危機感を感じる方を、目が離せなくなり、応援したくなる時はあります。
馬石師匠の今回の「湯屋番」の若旦那は、風流な道楽者でした。
馬石師匠ならではの教養あふれるアレンジ、湯屋の番台で講談本を読む、乙な女将さんを口説くのに、とっさに都都逸、知ってる小唄、常盤津、長唄、義太夫が口から出て来るとは、若旦那、只者ではありません。
若旦那時代に遊び歩いた成果で、あらゆる芸を見聞きし、芸達者になったのでしょうか。お湯屋さんの番台がとてもたのしい妄想芝居の舞台になり、お客さんたちが芝居のかけ声はまるでスポーツや芝居の観戦です。馬石師匠だからこそ、妄想芝居が絵になって、いつしか、私も若旦那の芝居に引き込まれて行きました。
早口で軽快な江戸っ子口調の菊之丞師匠。所作はどこか色っぽく、高座へ上がられたお姿は「昭和元禄落語心中」という落語漫画での菊比古、後の八雲師匠を想わせます。
古今亭の落語家としての家計図では、馬石師匠とは同じ古今亭の親戚なのだと説明は、とても由緒あり皆様の大切にしている誇りや伝わる演目の伝承をも感じました。
菊之丞師匠のサバサバした語り口を聴いている内に、馬石師匠の湯屋番が、実はおっとりした若旦那風の口調だったのを、改めて理解し、語り口調でこんなに印象が変わるのだと改めて驚きました。
菊之丞師匠滑舌が良いリズム感のある早口で「妾馬」の八五郎を拝聴する心地良さ。落語のリズムに乗ってトントンと、「身分違いになった兄と妹との再会」が音楽のように落語にノッて語られます。よく落語好きの方々のいう、
「江戸の風が吹いた!」
とは、このような落語をいうのかも知れません。
今回は、一見よく似ていらっしゃる師匠お二人故に、お話しの仕方の違いがとても良く分かりました。そして、お二人の魅力ある師匠を夕方から拝聴できる贅沢さを味わえて最高に幸せでした。
最近のふたりらくごの回は、贅沢な組み合わせが度々あり、おすすめです。
もしお時間が合うようでしたら、是非、いらっしゃってみて下さい。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」11/10 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ
11月10日(金)18時~19時「ふたりらくご」
隅田川馬石(すみだがわ ばせき)-湯屋番
古今亭菊之丞(ここんてい きくのじょう)-妾馬
■湯屋の番台で拡がる男のロマン
-
隅田川馬石師匠
まくらでは、サッカーのブラジル戦、日本シリーズの白熱戦、あるお相撲さんを例えて、客席に、観戦している時の応援する気持ち、せつなさ、熱さを共有して下さいました。
11月の日本シリーズは負ける可能性が高くても、熱くなって観ておりましたので、馬石師匠の観戦や応援の心理は、ストンと腑に落ちます。
野球チームでも、演者さんでも、半官贔屓が働くといいますか、不思議と危機感を感じる方を、目が離せなくなり、応援したくなる時はあります。
馬石師匠の今回の「湯屋番」の若旦那は、風流な道楽者でした。
馬石師匠ならではの教養あふれるアレンジ、湯屋の番台で講談本を読む、乙な女将さんを口説くのに、とっさに都都逸、知ってる小唄、常盤津、長唄、義太夫が口から出て来るとは、若旦那、只者ではありません。
若旦那時代に遊び歩いた成果で、あらゆる芸を見聞きし、芸達者になったのでしょうか。お湯屋さんの番台がとてもたのしい妄想芝居の舞台になり、お客さんたちが芝居のかけ声はまるでスポーツや芝居の観戦です。馬石師匠だからこそ、妄想芝居が絵になって、いつしか、私も若旦那の芝居に引き込まれて行きました。
■リズミカル
-
古今亭菊之丞師匠
早口で軽快な江戸っ子口調の菊之丞師匠。所作はどこか色っぽく、高座へ上がられたお姿は「昭和元禄落語心中」という落語漫画での菊比古、後の八雲師匠を想わせます。
古今亭の落語家としての家計図では、馬石師匠とは同じ古今亭の親戚なのだと説明は、とても由緒あり皆様の大切にしている誇りや伝わる演目の伝承をも感じました。
菊之丞師匠のサバサバした語り口を聴いている内に、馬石師匠の湯屋番が、実はおっとりした若旦那風の口調だったのを、改めて理解し、語り口調でこんなに印象が変わるのだと改めて驚きました。
菊之丞師匠滑舌が良いリズム感のある早口で「妾馬」の八五郎を拝聴する心地良さ。落語のリズムに乗ってトントンと、「身分違いになった兄と妹との再会」が音楽のように落語にノッて語られます。よく落語好きの方々のいう、
「江戸の風が吹いた!」
とは、このような落語をいうのかも知れません。
今回は、一見よく似ていらっしゃる師匠お二人故に、お話しの仕方の違いがとても良く分かりました。そして、お二人の魅力ある師匠を夕方から拝聴できる贅沢さを味わえて最高に幸せでした。
最近のふたりらくごの回は、贅沢な組み合わせが度々あり、おすすめです。
もしお時間が合うようでしたら、是非、いらっしゃってみて下さい。
【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」11/10 公演 感想まとめ
写真:渋谷らくごスタッフ