渋谷らくご

渋谷らくごプレビュー&レビュー

2017年 11月10日(金)~15日(水)

開場=開演30分前 / *浪曲 **講談 / 出演者は予告なく変わることがあります。

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11月15日(水)18:00~19:00 春風亭昇々

「ひとりらくご」 昇々を聴く1時間

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プレビュー

 なにも考えたくない。ただ脳みそを昇々さんに預けて、ひたすら横隔膜を刺激し続けたい。
 もはや「整体」と言ってもいいほど、ヒクヒク笑わ続ける昇々落語は、身体が軽くなる効果があります。副作用として、夢に出てきます。
 品のいいクドさを体感してください。そう、昇々落語は「体感」する落語。全芸人はこの男に勝てる身体性を、持っていない。

▽春風亭昇々 しゅんぷうてい しょうしょう
1984年11月26日、千葉県松戸市出身。2007年に入門、2011年二つ目昇進。フジテレビ「ポンキッキーズ」にレギュラー出演中。テレビ東京「ミライダネ」では、ナレーション出演。アウトドア好きな一面もあり、急遽思い立ちひとりで雪山を登ったりしている。

レビュー

文:月夜乃うさぎTwitter:@tukiusagisann 趣味:茶道 猫のいるカフェ巡り


11月15日(水)18時~19時「ひとりらくご」

春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)-待ちわびて/お面接/そうおん!

春風亭昇々さん

  • 春風亭昇々さん

    春風亭昇々さん

 春風亭昇々さんの「ひとりらくご」この日は、新作3席の回でした。
昇々さんの新作は、頭を使わないで笑える楽しみ方ができる他、社会問題をどう落語にしているかも注目に値するのではないかと思います。


  春風亭昇々さん「待ちわびて」
 高齢者の方の長寿、核家族化による老老介護問題が取り上げられています。
「待ちわびて」も高齢で未亡人となった女性と義父、そして義父の父親が生活する
様子が描かれました。新作落語なので、具体的な内容は伏せますが「待ちわびて」は、悲愴さのかけらもなく、可笑しくてシュールでほんのり人情味もありながら、笑い転げる内容です。昇々さんのおじいちゃんがとても可愛らしくて、こういうおじいちゃんいるよね、って感じ。でも男性としての行動も少しだけあって・・・。性や家族への思いやり、死に向かって生きる他人事ではない人生を笑い飛ばすという斬新な落語す。
 子供とは別の、おじいちゃんの可愛らしさ、たっぷり堪能しました。

  春風亭昇々さん「お面接」
 最近の受験事情は、エスカレーターで大学まで進学させたいという親心が先攻しているようで、少子化になっても受験戦争は終わりませんね。エスカレーター校にも定員数というものがあり、高校や大学からの受験では人脈つくりに遅れを取り、おまけに既に小中でお受験している子供が一定数いるので、受験も難関になっていくようです。なるべく目指す学校へ早めに入学させたいと、子供を持つ親の想いで東京近辺の学校は昔から過熱しています。
 今回の「お面接」は、受験戦争の渦中にいるママ(お母様)と子供が登場します。けれどまだ無邪気で、幼い子供としてのすなおさも垣間見えて、とてもステキなお噺でした。もちろん爆笑です!

  春風亭昇々さん「そうおん!」
 核家族化が進むとご両親と同居より、とりあえず賃貸住宅(アパートやマンション)へというご夫婦が多いわけです。隣り近所と壁と床と天井だけで仕切られただけの空間だと、時々騒音問題になるケースもありますよね。
 隣り近所とのトラブルや監禁・バラバラ殺人事件などがニュースを賑わせていると、引越ししても、ご近所へご挨拶は危険だという風潮が最近はあります。
 その中での「騒音」は、うるさいといって逆ギレされるのも怖い、最近は「クレーマー」と言われちゃいますし。
 けれど「迷惑なものは迷惑」な騒音問題、それを昇々さんは、軽快に滑稽に場口調していまうほどの笑いにしてしまう。
 この噺、もうおもしろすぎます!
 昇々さん落語はしぐさも超越してるけど、噺も「らくご」という粋を超越していて、社会問題も、その根底に流れる深刻さも、笑うことですっきりさせてしまいました。とても楽しかったです。


【この日のお客様の感想】
「渋谷らくご」11/15 公演 感想まとめ

写真:渋谷らくごスタッフ